不服申立期間徒過を理由とした異議決定を取り消す旨の判決においてされた、送達が適法に行われたとは認められない旨の判断に必要な事実認定は、関係行政庁を拘束するとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2010/10/22 [租税特別措置法][登録免許税法の特例] 原処分庁は、異議決定を取り消す旨の本件高裁判決は、不服申立期間の起算日の認定に係る判断であり、本件決定処分等自体の効力を認定するための判断ではないから、本件決定処分等自体の効力について、原処分庁を拘束するものではない旨、請求人がEを納税管理人に選任し、同人を納税管理人として認識していた旨、本件決定処分等に係る通知書(本件通知書)の送達に瑕疵があるにしても、個人情報保護法に基づく本件決定処分等に係る決議書の開示請求により、請求人がその決議書の写しを入手した時点において、送達の趣旨、目的である納税者に処分の内容を了知させることはできており、当該瑕疵は治癒した旨主張する。
しかしながら、取消判決の拘束力の及ぶ範囲は、判決主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断にわたるものと解されることから、本件高裁判決により、Eを請求人の納税管理人とみることはできず、請求人がEを納税管理人として認識していたと認められないという事実認定に拘束力が生じ、この事実認定を前提とするほかなく、社会通念上、Eの住所地に本件通知書が送達されることにより請求人が本件決定処分等の存在を了知し得たとは認められないから、平成18年9月22日にEの住所地に本件通知書が送達されたとしても、これをもって本件通知書が適法に請求人に送達されたということはできない。
したがって、原処分庁による上記の主張については、本件決定処分等自体の効力を直接的に拘束するものではないとしても、行政処分の効力発生要件に関する事実認定については関係行政庁を拘束するものであること、上記の主張については、本件高裁判決は、本件通知書送達当時において、請求人がEを納税管理人として認識していたと認めることもできない旨判断しているのであり、本件高裁判決の拘束力に抵触するものであることから、いずれも採用することができない。また、上記の主張については、送達とは、国税に関する法律の規定に基づいて税務署長が発する書類の到達に関する方法であり、その告知そのものがなされていないときに、単に納税者が個人情報保護法に基づく権利行使により、処分の内容を了知したからといって、これによって告知としての送達の瑕疵が治癒したということもできないことから、その主張には理由がない。
《参照条文等》 国税通則法第12条、第28条、第32条 行政事件訴訟法33条
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 不服申立期間徒過を理由とした異議決定を取り消す旨の判決においてされた、送達が適法に行われたとは認められない旨の判断に必要な事実認定は、関係行政庁を拘束するとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(租税特別措置法>登録免許税法の特例)
- 未払金に計上した退職金は架空であるとして重加算税の賦課決定を相当であるとした事例
- 相続財産について破産宣告がなされたとしても相続により承継した国税の納付義務は消滅しないとした事例
- 譲渡担保契約は処分清算型と認められるから債権者による譲渡担保財産の換価前にされた差押処分は適法であるとした事例
- 新賃借人が旧賃借人の敷金を承継することを賃貸人が承諾した等の特段の事情がある場合、敷金返還請求権は新賃借人に承継され、新賃借人が目的物を明け渡した時に、新賃借人に対する被担保債権を控除した残額について発生するところ、原処分庁は敷金返還請求権の取立てを完了していることから、差押処分は消滅しているとした事例(各敷金返還請求権の各差押処分・却下・平成26年4月23日裁決)
- 平成8年分の所得税の確定申告において、措置法第36条の6第1項の特例の適用を受けた結果、8年分と10年分の所得税の合計額が、適用を受けなかった場合の合計額よりも過大になったとしても、更正の請求はできないとされた事例
- 土地がいわゆる公図混乱地区に所在し、その地積の確定は測量が完了するまではできなかったとしても、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由に当たらないとした事例
- 修正申告のしょうように至るまでの過程において、原処分庁が当初保有していた情報とは異なる申告漏れが判明した事情がある場合において、修正申告は更正があるべきことを予知してなされたものであると認めた事例
- 申告もれの土地譲渡について具体的に指摘した来署依頼状の送付後になされた修正申告書の提出は、国税通則法第65条第5項に規定する調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたというべきであるとした事例
- 顧問契約を締結している税理士が、重加算税の課税要件を満たす過少申告をした場合、これを請求人が認識していたか否かにかかわらず、請求人は重加算税を負うとした事例
- 国税徴収法第39条が規定する「受けた利益」が取引相場のない株式である場合において、同条の第二次納税義務の限度額の算定に当たり、原処分庁がディスカウント・キャッシュ・フロー法と時価純資産法を併用して当該株式を評価したことに不合理な点は認められないとした事例(第二次納税義務の納付告知処分・一部取消し・平成27年10月28日裁決)
- 差押処分の取消しを求める理由として滞納処分の停止事由に該当する旨の請求人の主張を排斥した事例
- 不動産の売買契約の不履行により保証金を没収したことが国税徴収法第39条の無償譲渡に該当しないとした事例
- 債務の弁済を滞納会社から受けたことについて、同社からの利益の享受に当たらないとした事例
- ゴルフ会員権を買戻し条件付で譲渡(取得価格の10分の1で譲渡するとするもの)したこととし、譲渡費用を加えた損失金額につき、給与所得と損益通算して所得税の還付申告をしたことは、国税通則法第68条第1項の隠ぺい、仮装に当たるとした事例
- 債権を目的とする質権の設定承諾請求書に当該債権の債務者が記名押印して承諾したことは認められるものの、当該請求書に確定日付が付されていないから、質権者である請求人は当該債権を差し押さえた原処分庁に対抗することができないとした事例
- 滞納者の詐害の意思の有無は、国税徴収法第39条の第二次納税義務の成立要件ではないとした事例(第二次納税義務の納付告知処分・棄却・平成27年1月19日裁決)
- 合併無効の判決が確定しても遡及効はないから当該合併により発生したみなし配当には何ら影響がなく、更正の請求の要件を充足していないとして、請求人の主張を排斥した事例
- 期限内又は期限後申告にかかわらず、当初の申告書が提出された場合には、その後に帳簿書類が押収されたとしても、国税通則法施行令第6条第1項第3号に規定する「やむを得ない事情」に該当しないとした事例
- 住民登録されている住所以外の居所に送達された更正通知書は適法に送達されたものとした事例
- 配当処分に係る審査請求は、不服申立期限である換価代金等の交付期日を徒過してなされたものであるが、換価代金等の交付期日について原処分庁がその期間を短縮したことは適法とはいえないとして、配当計算書謄本受領後早期になした審査請求を適法なものとして扱うのが相当であるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。