加算税の賦課決定処分に当たり、その計算の基礎とした「更正処分により納付すべき税額」には、更正により増加する部分の納付すべき税額のほか、更正により減少する部分の還付金の額に相当する税額が含まれ、当該税額の還付を受けたか否かを問わないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
1995/11/06 [国税通則法][附帯税][過少申告加算税]請求人は、過少申告加算税の基礎となる更正処分等により納付すべき税額には、「納付義務が存在するところの」という限定をつけて解釈すべきであるとし、本件課税期間の確定申告書に記載した還付金の額に相当する税額である控除不足還付税額の還付を受けていないので、本件更正処分により「減少する部分の税額」となった当該控除不足税額については、納付義務が存在しないこととなり、国税通則法第65条第1項に規定する納付すべき税額ではないことになるから、これを過少申告加算税の計算の基礎として賦課決定処分する根拠はない旨主張するが、同法第65条第1項は、更正等に基づく過少申告加算税は、同法第35条第2項の規定により課される旨規定しているところ、同項及び同法第28条第2項の規定内容から、当該「納付すべき税額」には、同法第28条第2項第3号イの更正により増加する部分の納付すべき税額のほか、同号ロの更正により減少する部分の還付金の額に相当する税額が含まれることは明らかであるから、当該税額の還付を受けたか否かを問わないと解するのが相当である。そうすると、更正により更正前の還付金の額に相当する税額がなくなり、納付すべき税額が生じた場合、過少申告加算税の計算の基礎となる税額は、その更正により生じた税額と、なくなった(消滅した)還付金の額に相当する税額を合計した税額となるところ、本件賦課決定処分は、更正処分により納付すべき税額と消滅した還付金の額に相当する税額を合計した税額を過少申告加算税の計算の基礎としており、請求人の主張には理由がない。
平成7年11月6日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 加算税の賦課決定処分に当たり、その計算の基礎とした「更正処分により納付すべき税額」には、更正により増加する部分の納付すべき税額のほか、更正により減少する部分の還付金の額に相当する税額が含まれ、当該税額の還付を受けたか否かを問わないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(国税通則法>附帯税>過少申告加算税)
- 法定申告期限内に原処分庁が還付申告に係る誤りを指摘しなかったとしても過少申告をしたことにつき正当な理由があるとは認められないとした事例
- 贈与により取得した株式を株式発行会社の法人税の確定申告書に記載された所得金額等を基に評価したことにより贈与税の過少申告をしたことについて正当な理由はないとした事例
- 確定申告期限以前において判断能力がなかったとは認められないから、納税者の責めに帰すことができない客観的事情は認められないとした事例
- 修正申告のしょうようがあった後になされた修正申告書の提出は、国税通則法第65条第5項に規定する調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたというべきであるとした事例
- 調査担当者の電話による質問の後に提出された修正申告書は、更正があるべきことを予知して提出されたものであると認定した事例
- 請求人による修正申告書の提出は、自発的な決意を有していたことが客観的に明らかであるから、更正があるべきことを予知してなされたものではないとした事例
- 申告相談担当職員による誤った指導等はなく、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由があると認められるものがある場合」には該当しないと判断した事例
- 消費税及び譲渡割に係る加算税の基礎となる税額は、それぞれに係る「納付すべき税額」を計算し、次いで、各々の「納付すべき税額」を合計した額であるとした事例
- 公共事業施行者が誤って発行した公共事業用資産の買取り等の証明書等に基づいて、租税特別措置法第33条の4第1項の規定による特例を適用して確定申告したことが、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由があると認められるものがある場合」には該当しないと判断した事例
- 扶養控除額を過大に申告したことについて国税通則法第65条第2項に規定する正当な理由が認められないとした事例
- 債権償却特別勘定の設定に関する税務署長の認定が相当期間なされなかったとしても過少申告をしたことにつき正当な理由があるとは認められないとした事例
- 過少申告となった原因は、単なる記載誤り及び法律に明示されていない事項の解釈誤りによるものであり、悪意がないから、社会通念的には「正当理由がある場合」に該当する旨の請求人の主張を排斥した事例
- 建造引当権に関する国税庁長官通達は、法令にない取扱いを新たに示したものとすることはできず、法令の不知、誤解は通則法第65条第4項の「正当な理由」があるとは認められず、調査担当者の具体的な指摘前に修正申告をしたとしても同法第65条第5項に該当しないとした事例
- 相続を原因とする所有権移転登記に係る登録免許税を不動産所得の必要経費に算入したことに基因する過少申告について正当な理由があるとした事例
- 租税特別措置法第37条の2第2項の規定による修正申告書の提出が「その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に当たらないとした事例
- 調査開始前に、請求人から関与税理士に従業員の横領行為発覚に伴う修正申告書の作成を依頼し、調査初日、同税理士から調査担当者に対して事実関係を説明するなどした後の修正申告書の提出は、「更正があるべきことを予知してされた」修正申告書の提出には当たらないとした事例
- 相談担当者が知り得なかった申告漏れ等は、国税通則法第65条“過少申告加算税”第4項にいう「正当な理由」には当たらないとした事例
- 法人税基本通達14−1−1の2ただし書が適用されると誤解して申告したことにつき国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」はないとした事例
- 期限後に提出された申告書は還付請求申告書に該当するので、更正処分により賦課すべき加算税は過少申告加算税になるとして無申告加算税の賦課決定処分の一部を取り消した事例
- 還付申告書の提出による還付金を受け取っていない場合であっても、修正申告により還付金の額に相当する税額が減少する場合は過少申告加算税賦課の対象になるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。