企業会計上ファイナンスリースは資産の取得を原則としていることから、機械設備に係る減価償却費の損金算入を認めるべきとする請求人の主張に対し、リース契約の内容及び取引の実態から判断すると通常の賃貸借取引に該当するとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
1998/03/13 [法人税法][所得金額の計算][損金の額の範囲及び計算][減価償却資産の償却等] 請求人は、Q公社とリース契約を締結して使用することとなった大型精密機械について、企業会計上ファイナンスリースは資産の取得を原則としていることから、本件機械設備を自己所有資産とすることにより特別償却を含めた減価償却費の損金算入を認めるべきである旨主張する。
しかしながら、リース取引の取扱いについては、税法上具体的な規定はないので、基本的には法人税法第22条第4項の規定にのっとり、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って会計処理されるべきであり、税務上リース取引について、これを法形式どおり一般の賃貸借と同様に取り扱うことに課税上の弊害があるものは別として原則的にはその法形式に従って会計処理を行うべきである。
また、ファイナンスリースに係る法人税の取扱いについては、その経済的実質において一般の賃貸借と同様に取り扱うことに課税上の弊害があると認められるものについては売買取引等として取り扱うこととし、昭和53年通達でその処理の統一を図ることとしたものである。
そうすると、本件リース取引について、リース契約の内容及び取引の実態から判断すると、本件機械設備は請求人がQ公社から取得したものではなく通常の賃貸借取引であることが認められ、また、昭和53年通達に定める売買として取り扱うリース取引にも該当しない。
平成10年3月13日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 企業会計上ファイナンスリースは資産の取得を原則としていることから、機械設備に係る減価償却費の損金算入を認めるべきとする請求人の主張に対し、リース契約の内容及び取引の実態から判断すると通常の賃貸借取引に該当するとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(法人税法>所得金額の計算>損金の額の範囲及び計算>減価償却資産の償却等)
- 外国のオークションを通じて購入した本件テーブル等は、時の経過により価値が減少する資産に当たるとした事例
- 自走式立体駐車場設備に適用すべき耐用年数は45年であるとされた事例
- 保冷施設は、建物に固着した内部造作物であるから、冷蔵業用設備の耐用年数ではなく、冷蔵倉庫用建物の耐用年数を適用するのが相当であるとした事例
- パチンコ遊技場経営に供されていた土地、建物の取得において営業権の取得があったとは認められないとした事例
- 請求人が取得した事業用建物は、主要構造体である耐力壁が鉄筋コンクリートで造られていることから、耐用年数省令の別表一に掲げられている「鉄筋コンクリート造のもの」に該当するされた事例
- スキー場開設のために支出した村道改良費は繰延資産に該当するとした事例
- 貸室の入居に当たり前賃借人から買い取った造作及び備品の買取費用は、その造作及び備品をすぐ取り壊し、新たな造作を取得したこと等からみて、繰延資産に該当するとした事例
- 建物の売買契約において、譲受人が負担することとした当該建物に係る譲渡日以降の期間に対応する未経過分の固定資産税に相当する金額は、譲受けに係る資産の購入の代価を構成するものとして建物の取得価額に算入すべきとした事例
- 建物に設置された鋼製建具、木製建具、畳敷物及びユニットバス等は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第一の「建物」に該当するとした事例
- 耐用年数省令別表第一に基づき耐用年数を適用する場合には、新たな技術又は素材により製造等されたものであっても、個々の減価償却資産を同表に掲げる「種類」、「構造又は用途」及び「細目」の順に従って同表のいずれに該当するかを判断し、その該当する耐用年数を適用するとした事例
- 地方公共団体に対する寄付金として支出した金員は、請求人が建設を予定しているゴルフ場の開発行為に伴う実質的な負担金であるから、繰延資産に該当するとした事例
- 中古資産の耐用年数を法定耐用年数ではなく使用可能期間の年数を見積り適用するには当該中古資産を事業の用に供した最初の事業年度において適用しなければならないとした事例(平19.4.1〜平24.3.31の各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成25年12月17日裁決)
- 店舗を開設するに当たり、前の賃借人に支払った本件金員は、繰延資産たる「資産を賃借するために支出する費用」に該当するものであり、その償却期間は、店舗が設置されている建造物の耐用年数を基に見積もるべきであるとした事例
- 取得した機械に係る減価償却費の損金算入及び同機械に係る消費税額の仕入税額控除について、事業年度末までに同機械は請求人に引き渡されていないから同算入及び同控除はいずれもできないとした事例
- 賃借した土地に設置した支柱付き鉄骨屋根の駐輪場施設は、当該土地の賃借期間満了時に解体撤去されることが確実であることを理由としてされた当該賃借期間を耐用年数とする短縮承認申請は、法人税法施行令第57条第1項に掲げる事由に該当せず認められないとした事例
- 営業店舗の賃借権の譲受価額には営業権に相当する額が含まれていないとした事例
- 請求人の行うリースバック取引が法人税法施行令第136条の3第2項に規定する実質的に金銭の貸借であると認められる一連の取引に該当するとした事例
- リース会社から割賦で買い受け、同日当該リース会社にリースするとの契約により、当該資産につき、少額減価償却資産として、購入価額の全額を損金算入した経理処理について、これを認めなかった原処分は適法であるとした事例
- 欠損会社から有償取得した営業権の償却費について損金算入を認めた事例
- 金属造のさん橋の耐用年数については、金属造の鋼矢板岸壁の25年が適用できると判断した事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。