FX取引のうち店頭金融先物取引に係る所得については、租税特別措置法に規定する分離課税及び損失の繰越控除が認められないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2008/02/28 [租税特別措置法][所得税法の特例][譲渡所得の特例][特定の事業用資産の買換えの場合等の課税の特例] 差金等決済に係る先物取引による雑所得等については、平成17年度の税制改正において、租税特別措置法第41条の14及び同法第41条の15の規定が改正され、先物取引に係る雑所得等の分離課税の適用及び先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除の適用について、その対象に、平成17年7月1日以後に行う取引所金融先物取引の差金等決済に係る雑所得等が追加されている。
請求人が行ったFX取引は、金融商品取引業者との間で相対で行った金融先物取引法第2条第4項に規定する「店頭金融先物取引」であり、金融先物取引所の開設する金融先物市場において行う「取引所金融先物取引」には該当しないのであるから、租税特別措置法第41条の14第1項の規定を適用する余地のないことは、法文に照らし明らかであり、請求人の各年分のFX取引に係る所得は、他の所得と区分して課税されるものではなく、他の所得と総合して課税されることとなるものである。
また、租税特別措置法第41条の15第1項に規定する先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除については、同法第41条の14第1項各号に掲げる先物取引の差金等決済に係る損失に限定してその適用を認めているところ、上記のとおり、請求人の行ったFX取引は取引所金融先物取引には該当しないことから、同法第41条の15第1項の規定は適用されない。
さらに、金融先物取引に係る損失の繰越控除は、平成17年7月1日以後に行う取引所金融先物取引の差金等決済に係る損失に限られるところ、請求人の平成14年分ないし平成16年分に生じたFX取引に係る損失は、平成17年7月1日以後に行われた取引に係る損失ではないことから、FX取引が店頭金融先物取引に該当するか取引所金融先物取引に該当するかにかかわらず租税特別措置法第41条の15第1項の規定を適用する余地はなく当該損失の繰越控除は認められない。
平成20年2月28日裁決
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