住宅借入金等特別控除の対象となる「居住用家屋」とは、個人が当該家屋を2以上有する場合には、「その者が主としてその居住の用に供すると認められる一の家屋」をいうとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
[租税特別措置法][所得税法の特例][譲渡所得の特例][特定の事業用資産の買換えの場合等の課税の特例]《ポイント》 本件は、「居住用家屋」を複数有している場合には、「主たる居住用家屋」をその取得の日から6月以内に居住の用に供し、かつ、の居住日以後その年の12月31日まで引き続き当該「主たる居住用家屋」を居住の用に供している場合にのみ、住宅借入金等特別控除の適用があるとした事例である。
《要旨》 請求人は、住所地である?@県所在の家屋(本件D家屋)のほかに、平成20年にa市所在の家屋(本件E家屋)を取得し、かつ、本件E家屋をその取得の日から6月以内に居住の用に供しているから、住所地を?@県からa市に異動した日の属する平成22年分の所得税について、本件E家屋を対象として住宅借入金等特別控除の適用を認めるべきである旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第1項に規定する住宅借入金等特別控除の対象となる「居住用家屋」とは、租税特別措置法施行令第26条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第1項に規定する「個人がその居住の用に供する家屋」を指し、個人が当該家屋を2以上有する場合には、「その者が主としてその居住の用に供すると認められる一の家屋」(主たる居住用家屋)をいうものと解されるところ、請求人は、本件E家屋の取得後6月以内に居住の用に供したときまでの間に、同家屋の生活環境を整え、その後、定期的にa市へ赴いた際に、日常生活の拠点として同家屋を利用していたものの、毎月の大半の日を本件D家屋で起居していたのであるから、上記期間中、請求人は、各家屋相互間の比較において、本件D家屋を中心として日常生活を送っていたものであり、同家屋が請求人の主たる生活の拠点として利用されていた家屋、すなわち「主たる居住用家屋」であったと認められる。他方で、上記期間中、本件E家屋は、請求人の「主たる居住用家屋」ではなく、住宅借入金等特別控除の対象となる「居住用家屋」には当たらないから、請求人は、本件E家屋を対象として住宅借入金等特別控除の適用を受けることができない。
《参照条文等》 租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)第41条第1項 租税特別措置法施行令第26条第1項
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