個別対応方式における用途区分の方法に誤りがあったとしてされた更正の請求について、確定申告において採用した用途区分の方法に合理性がある場合には、国税通則法第23条第1項第1号の適用はないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2011/03/01 [国税通則法][納付義務の確定][更正の請求]《要旨》 請求人は、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第2項第1号の規定(個別対応方式)の適用に当たり、医薬品の課税仕入れに係る消費税額の用途区分の方法について、課税資産の譲渡等と課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等に共通して要するものに区分すべきところ、課税仕入れの都度、課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等にのみ要するものに区分した上で、課税期間の末日の決算修正により、当該課税期間の医薬品に係る課税売上げの額に基づいて課税資産の譲渡等にのみ要するものと課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等にのみ要するものとに区分したために、納付すべき消費税及び地方消費税の額を過大に算定する誤りがあったのであり、国税通則法第23条《更正の請求》第1項第1号の規定の適用がある旨主張する。
しかしながら、個別対応方式が適用される場合に、用途区分の方法に誤りがあったとして同号の規定が適用される場合とは、申告当時に納税義務者が採用した用途区分の方法に合理性がなく、合理性のない用途区分の方法を採ることによって納付すべき消費税等の税額が過大となる場合をいい、他の合理的な用途区分の方法を採っていた場合と比較して単に納付すべき消費税等の税額が過大となる場合をいうものではないと解するのが相当であるところ、請求人が行っていた用途区分の方法は、医薬品の課税仕入れについて、その課税売上対応分を個別に把握可能な課税売上げに係る医薬品名及び数量又は金額を基準として、売上実績に基づいて区分する方法であり、合理性があると認められることから、国税に関する法律の解釈適用についての誤りがあった場合には該当せず、また、当審判所が請求人の納付すべき消費税等の税額を算出したところ、その計算過程に誤りがあった場合にも該当しない。したがって、国税通則法第23条第1項第1号の規定の適用はない。
《参照条文等》 国税通則法第23条第1項 消費税法第30条第2項
《参考判決・裁決》 最高裁昭和62年11月10日第三小法廷判決(昭和60年(行ツ)第81号) 平成22年5月17日裁決(裁決事例集No.79)
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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