父親が所有する家屋について増改築工事を行い、増改築工事後にその家屋に居住を開始したとしても、「居住の用に供している家屋で政令に定めるものの増改築等」に該当しないから租税特別措置法第41条(住宅借入金等を有する場合の特別税額控除)の適用はないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2005/12/07 [租税特別措置法][所得税法の特例][譲渡所得の特例][特定の事業用資産の買換えの場合等の課税の特例] 請求人は、増改築後にしか所有権を取得できないにもかかわらず、増改築前に所有権を有していない場合には住宅借入金等特別控除の適用を認めないとする租税特別措置法第41条第4項の規定は、当該控除の制度の趣旨に反し著しく不当であり、一戸建ての建物を第三者から購入した者よりも不利な扱いをすることになるので、不合理な差別を禁止し、法の下の平等を規定した憲法に違反する。
したがって、本件増改築に対して住宅借入金等特別控除が適用されるべきである旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法第41条第1項は、居住者が、国内において、その者の居住の用に供している家屋の増改築等をした場合、同条第4項は、第1項に規定する住宅借入金等特別控除が適用される増改築等の目的となる家屋は、当該居住者が所有している家屋である旨それぞれ規定しており、居住の用に供し、かつ、所有しているか否かの判断の基準となる時は、増改築等の工事がされた時であることは文理上明らかである。
本件では、請求人は、本件増改築の工事がされた時点で本件家屋に居住しておらず、所有もしていないのであるから、本件家屋は、住宅借入金等特別控除が適用される増改築等の目的となる家屋に当たらず、本件増改築に対して住宅借入金等特別控除を適用する余地はない。
したがって、本件増改築に対して住宅借入金等特別控除が適用されるべきであるとの請求人の主張には理由がない。
なお、租税特別措置法第41条第4項の規定が憲法に違反するか否かの判断は、当審判所の権限に属さない事項であるので、審理の限りでない。
平成17年12月7日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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