取引相場のない株式につき発行会社との間で譲渡価額を額面価額による旨を誓約している場合において、額面価額による評価は採用できないとした事例
[消費税法][申告、更正の請求の特例]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1990/06/18 [消費税法][申告、更正の請求の特例]裁決事例集 No.39 - 401頁
被相続人が所有する取引相場のない株式につき、当該株式の発行会社に対して「退職した場合には、会社の指示に従い、額面価額をもって所有する株式を譲渡する」という誓約書を提出していること等から、相続人としてその誓約書どおりに額面価額により相続した当該株式を譲渡せざるを得ない状況にあったとしても、当該誓約は、会社と従業員という特定の関係にある当事者間の契約であり、当該契約による譲渡価額は、被相続人の自由意思により決定された額とは認められないから、仮に、額面価額が唯一の処分可能価額であったとしても、その価額は、当該株式の客観的交換価値を表した価額とは認められない。
相続税法第22条に規定する「時価」とは、利害関係のない当事者間における客観的交換価値と解されるから、当該制約された譲渡価額は、同条に規定する時価に当たらない。
本件株式については、被相続人及び請求人らの所有形態からみて、配当還元方式により評価するのが客観的で合理的である。
平成2年6月18日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 取引相場のない株式につき発行会社との間で譲渡価額を額面価額による旨を誓約している場合において、額面価額による評価は採用できないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(消費税法>申告、更正の請求の特例)
- 土地(私道)が不特定多数の者の通行の用に供されていたとは認められないからその土地の価額は自用宅地の価額の60パーセントに相当する金額により評価することが相当であるとした事例
- 被相続人の死亡は業務上の死亡に当たらないから、弔慰金の額は、同人の死亡当時における普通給与の半年分に相当する金額とするのが相当であるとした事例
- 貸付金債権の評価につき、その会社の資産状況及び営業状況等が破たんしていることが明白かつ債権の回収の見込みのないことが客観的に確実であるといい得る状況にあったとは認められないから、その一部を回収不能として減額することは認められないとした事例
- 本件土地の価額は、相続後に本件土地を譲渡したときの価額の7割相当額によるか、又は公売価額を基準として算定した金額とすべきとの請求人の主張に対して、路線価は時価を上回っておらず、また、特殊性のある公売価額を客観的時価と認めることはできないとした事例
- 物納申請土地は、いわゆる間口狭小のため単独には通常の用途に供することができない土地に該当するとして「管理又は処分をするのに不適当」と判断した事例
- 被相続人は賃借していた土地の所有者に対して別途建物を賃貸しており、その建物の賃貸料が相場より低いのは、その低い分だけ土地の賃借料と相殺されているのであるから、この相殺部分の金額を土地の賃借料に加算すると土地の賃借料は相当地代に当たるので、被相続人の有する借地権の評価額は零であるとの請求人の主張が排斥された事例
- 請求人が父から売買契約により譲り受けた土地の対価は、当該土地の時価に比して著しく低い価額であると認められ、相続税法第7条の規定により贈与があったものとした事例
- 取引相場のない出資を純資産価額方式により評価するに当たり、割賦販売に係る未実現利益の金額は控除できないとした事例
- 請求人は、資力を喪失していないので、相続税法第8条ただし書の適用ができないとした事例
- 負担付贈与された土地及び建物の価額は、土地については公示価格に基づいて算出する方法により、建物については再建築価格を基準とした価額から、建物の建築時からその経過年数に応じた減価又は償却費の額を控除して算出する方法によるのが相当であり、また、連帯債務に係る負担額は、債務者間に特約がなく、各債務者が実際に受けた利益の割合で連帯債務の負担をすることを認識していたと認められるから、その割合に応じた額になるとした事例
- 高圧線が架設されている線下地の相続税評価額を更地価額の20パーセント減で評価した事例
- 請求人らの母親の預金口座から出金された金員が請求人らの債務の返済に充てられているが、両当事者はその事実を知らなかったのであるから、請求人らが対価を支払わないで経済的利益を受けたとは認められないとした事例
- 香港に所在する財産について、相続税の課税財産と認定するとともに、その時価を香港政庁に提出された遺産宣誓書に記載されている各財産の価額の邦貨換算額により評価した原処分を相当と認めた事例
- 相続税法34条4項の連帯納付義務は、受贈者の贈与税の納税義務の確定という事実に基づいて法律上当然に生じるもので、特別の確定手続を要するものではなく、その範囲は、受贈者が負っている本税及び延滞税のすべてについて、贈与した財産の価額を限度として負担すべきであるとした事例
- 被相続人が米国f州にジョイント・テナンシーの形態で所有していた不動産について、生存合有者(ジョイント・テナンツ)が取得した被相続人の持分は、みなし贈与財産に該当し、相続税の課税価格に加算されるとした事例(平成21年12月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の変更決定処分、平成21年12月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平成21年12月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の各賦課決定処分・全部取消し、一部取消し、棄却・平成27年8月4日裁決)
- 配当還元方式を利用することにより、相続税の負担の軽減を図る目的で本件株式を取得した本件のような場合には、実質的な租税負担の公平という観点から、配当還元方式を適用することはできないとした事例
- 貸金債権は生前において回収不能を理由に既に放棄されていたとの請求人の主張を退けた事例
- 遺贈に対して遺留分による減殺請求がなされている場合であっても、各共同相続人の取得財産の範囲が具体的に確定するまでは、受遺者の課税価格はそれがないものとして計算した金額によるとされた事例
- 使用貸借により貸し付けられている土地について、使用借人が賃貸建物の敷地として利用していても自用地の価額により評価するのが相当であるとした事例
- 被相続人の株式売却代金を原資として設定された相続人名義預金の一部を相続人固有の財産と認定した事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。