昭和62年に譲渡したマンションの取得時期は、建物利用権を取得した昭和45年ではなく、その所有権を取得した昭和58年であるから、その譲渡所得の金額の計算に当たって居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用はないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
1990/11/22 [租税特別措置法][所得税法の特例][譲渡所得の特例]裁決事例集 No.40 - 265頁
請求人は、昭和62年2月に譲渡したマンションは昭和45年に1,430万円の金員を支払って取得し、以後居住の用に供していたのであるから、居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例等の適用があると主張するが、請求人とマンションの所有者であった会社との間には昭和45年に「建物利用権設定契約」が締結され、その内容は、[1]請求人は、利用区を自己の持家と同様に居住のために占有使用し、相続その他の包括承継の対象とすることができ、転貸することができること、[2]契約期間は、昭和45年5月1日から昭和60年4月30日までであり、一定の条件のもとに解約でき、契約が終了した場合には保証金(1,430万円)を返還し、請求人は抵当権の設定登記又は代物弁済予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記を付することができること、[3]保証金は無利息であること等が定められており、請求人は、本件マンションについて昭和45年当時、建物利用権と所有権のうちどちらか一方を選択取得できたにもかかわらず、自己の意思で建物利用権を取得したものであって、この建物利用権は、借家権と同一の性格を有しているものと解するほかないから、請求人は昭和45年に建物利用権を取得して以後債権を有していたものであり、昭和58年に至って本件マンションの所有権を取得したものと認められる。そうすると、本件譲渡所得については、譲渡の年1月1日現在において所有期間が10年を超えていないから、居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例等の適用はない。
平成2年11月22日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 昭和62年に譲渡したマンションの取得時期は、建物利用権を取得した昭和45年ではなく、その所有権を取得した昭和58年であるから、その譲渡所得の金額の計算に当たって居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用はないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(租税特別措置法>所得税法の特例>譲渡所得の特例)
- 老年者の判定の基準となる合計所得金額には長期譲渡所得の金額を含めるべきであるとした事例
- 同一日に宅地と居住用家屋を異なる業者から取得した請求人が、宅地の取得に係る債務のみを有している場合には、住宅借入金等特別控除の適用はないとした事例
- 賃貸借契約の解除後に取得した土地の譲渡は、租税特別措置法第37条第1項に規定する事業用資産の譲渡に当たらないとした事例
- 代償金を支払って取得した相続土地を譲渡した場合の取得費の額に加算する相続税額の計算に当たり、当該代償金の額を圧縮した原処分は相当であるとした事例
- 年末近くに入居したため、その年に融資が間に合わず借入金の年末残高証明書の発行を受けられなかった場合、住宅取得等特別控除は結果的に4年間しか適用がないとされた事例
- FX取引のうち店頭金融先物取引に係る所得については、租税特別措置法に規定する分離課税及び損失の繰越控除が認められないとした事例
- 仮住居補償金及び移転補償金を対価補償金と認めず、また、収益補償金と同様な取扱いをすることはできないとした事例
- 譲渡土地は、昭和63年9月1日から譲渡(平成2年4月24日)するまで事業の用に供していないので、特定の事業用資産の買換特例が適用できないとして請求人の主張を排斥した事例
- 住宅借入金等特別控除の対象となる家屋に該当するか否か(床面積基準)の判定に当たり、同一人の所有に属する一棟の建物は、区分所有建物として表示登記又は保存登記がなされていない限り、一個の建物であると解するのが相当であるとした事例
- 買換承認申請書の買換期限の延長承認申請書が提出期限までに提出されていないので買換特例の適用はないとした事例
- 駐車場として貸し付けていた本件土地は、事業に準ずるものの用に供する資産として政令で定めるものに該当せず、租税特別措置法第37条第1項の規定の適用は認められないとした事例
- 法人から残余財産の分配等により取得した土地は買換取得資産に当たらないとした事例
- 10年以上居住の用に供していた家屋及びその敷地について、贈与を受けた直後に譲渡した場合には、租税特別措置法第35条の適用を受けることはできないとした事例
- 借地権を消滅させ更地として譲渡した土地の概算取得費は総収入金額から借地権相当部分の収入金額を控除して計算すべきであるとした事例
- 譲渡土地上に建設された中高層の耐火共同住宅に係る検査済証の建築主は、Z社と当該土地の譲受人以外のH社であるから、当該土地の譲渡について租税特別措置法第31条の2第2項第9号(現行法は第11号)の規定が適用できないとして請求人の主張を排斥した事例
- 租税特別措置法第33条の4第3項第1号に規定する公共事業施行者とは事業認定を受けた後の事業者であると限定的に解することはできないとした事例
- 居住用家屋を取り壊した日から1年以内にその敷地の譲渡契約が締結されていないとした事例
- 父親所有の家屋に増改築を行った場合において、増改築後に当該家屋を取得した場合にも住宅取得等特別控除が適用されるとの請求人の主張が排斥された事例
- 減額更正処分により発生した過誤納金を収納未済額に充当した結果、物納許可を受けた相続税額を超える価額の財産により物納されたこととなり、物納財産の収納許可額と物納許可を受けた相続税額との差額が金銭で還付され、その差額に対して譲渡所得が課税された事例
- 昭和59年分の所得税の確定申告書には何ら無効原因となる錯誤の存在は認められず、当該確定申告において既に租税特別措置法第35条第1項の規定の適用を受けていることが明らかであるから、昭和61年分の所得税の確定申告において居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けることはできないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。