評価対象地は、既に開発行為を了した共同住宅の敷地として有効に利用されていることから、「広大地」には当たらないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2011/04/21 [消費税法][申告、更正の請求の特例]《ポイント》 この事例は、既に開発行為を了した共同住宅用地について、その共同住宅(建物)の状況から近い将来の開発行為を要しないこと及びその存する地域の標準的使用形態の一つに適合していることから、当該共同住宅用地は有効利用されているとして、「広大地」には当たらないと判断したものである。
《要旨》 請求人らは、相続により取得した各土地(本件各土地)は、賃貸マンションの敷地となっているところ、地価公示法によれば賃貸マンションを建築することが地域の標準的使用とはなり得ないこと及び本件各土地が所在する地域の近傍地域が一群の戸建住宅分譲用地へと移行しつつあることからすると、本件各土地は「現に宅地として有効利用されている建築物等の敷地」には該当しないなどと主張して、本件各土地は、財産評価基本通達24−4《広大地の評価》(広大地通達)に定める広大地に該当する旨主張する。
しかしながら、広大地通達の趣旨に照らすと、評価対象宅地につき、評価時点における当該宅地の属する地域の標準的使用に照らして、当該宅地を分割することなく一体として使用することが最有効使用であると認められる場合には、広大地に該当しないと解するのが相当であり、既に開発行為を了しているマンションなどの敷地や現に宅地として有効利用されている建築物の敷地用地などについては、特段の事情がない限り、広大地には該当しないものと解せられるところ、本件各土地は、既に開発行為を了した共同住宅の敷地として使用されており、本件各土地について、近い将来において新たな開発行為を行うべき事情も認められない上、本件各土地の存する地域においては、戸建住宅用地、共同住宅用地、法人等事業用地、倉庫・車庫・工場用地の各用途のいずれもが標準的な使用形態であると認められることからすると、本件各土地は、既に開発行為を了した共同住宅の敷地として、その周辺地域の標準的な使用状況に照らして有効に利用されているものと認められる。
したがって、本件各土地は、広大地には該当しないものと認めるのが相当である。
《参照条文等》 財産評価基本通達24−4
《参考判決・裁決》 東京地裁平成20年8月29日判決(税資258号順号11014) 東京地裁平成17年11月10日判決(税資255号順号10199)
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 評価対象地は、既に開発行為を了した共同住宅の敷地として有効に利用されていることから、「広大地」には当たらないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(消費税法>申告、更正の請求の特例)
- 弁明の機会が付与されていないから弁明手続は違法である旨の請求人の主張を排斥した事例
- 請求人らが相続により取得した土地の一部は、財産評価基本通達24−4に定める広大地に当たるとして処分の一部を取り消した事例(平成23年4月相続開始に係る相続税の各更正処分(各更正の請求に対してされた各再更正処分をあわせ審理)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(各変更決定処分後のもの)・一部取消し・平成28年2月29日裁決)
- 被相続人の死亡は業務上の死亡に当たらないから、弔慰金の額は、同人の死亡当時における普通給与の半年分に相当する金額とするのが相当であるとした事例
- 遺産分割審判手続中に相続分放棄証明書及び脱退届出を家庭裁判所に提出した納税者は、他の共同相続人間において遺産分割が確定したことを知った日の翌日から4か月以内に相続税法第32条第1号の規定に基づき更正の請求をすることができるとした事例
- 建物の一部が収用に伴い取り壊された前後を通じて、評価対象地の利用状況及び権利関係に変化がなかったことから、評価単位は1つとすべきとした事例
- 不動産贈与の効力は、贈与契約公正証書の作成の時ではなく、被相続人の死亡の時に生じたものと認定した事例
- 傾斜度が30度を超える土地であることから財産評価基本通達に定める方式ではなく個別評価が相当である旨の主張を認めた事例
- 遺産分割調停の成立に基づきされた他の共同相続人からの更正の請求に係る減額更正処分の後に、請求人に対して行われた相続税法第35条第3項第1号の規定に基づく増額更正処分に違法はないとした事例
- 遺産分割に係る訴訟上の和解が成立した場合において、相続税法第32条に規定する「事由が生じたことを知った日」は、当事者が合意して和解が成立した日と解するのが相当であるとした事例
- 無記名の本件貸付信託及び本件割引債は被相続人に帰属し、相続財産に当たると認定した事例
- 周知の埋蔵文化財包蔵地については発掘調査費用の額の80%相当額を控除して評価することが相当であるとした事例
- 借地権者の地位に変更がない旨の申出書を提出後その土地の所有権者が建物を建て替えた場合その借地権は所有権者に無償で返還され消滅している旨の請求人の主張を排斥した事例
- 家族名義預金の一部は相続財産に当たらないと判断した事例(平成24年2月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分・棄却・一部取消し、一部取消し・平成28年11月8日裁決)
- 請求人の主張する各種事情によっても、相続により取得した土地の財産評価基本通達の定めに従った原処分庁の評価額は時価であるとの推認を覆されないから、不動産販売業者が試算した価格によって評価することはできないとした事例
- 土地上に建物を有していた被相続人が当該土地の所有者に対し地代として支払っていた金員は、当該土地の使用収益に対する対価であると認められないから、被相続人が当該土地上に借地権を有していたとは認めることはできないとした事例(平成24年10月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・全部取消し・平成29年1月17日裁決)
- 相続財産である貸家の空室部分は、一時的に賃貸されていなかったものではないため、評価額の減額は認められないとした事例(平成21年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成26年4月18日裁決)
- 本件土地の賃貸借では権利金の授受に代えて相当の地代が授受されていたから、本件土地の評価において、財産評価基本通達25の定めによる借地権の価額は控除できないとした事例
- 資金の移動が、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当するとした事例
- 本件土地の価額は、相続後に本件土地を譲渡したときの価額の7割相当額によるか、又は公売価額を基準として算定した金額とすべきとの請求人の主張に対して、路線価は時価を上回っておらず、また、特殊性のある公売価額を客観的時価と認めることはできないとした事例
- 財産評価基本通達24−4《広大地の評価》に定める「その地域における標準的な宅地の地積」については、河川や山などの自然的状況、行政区域、都市計画法による土地利用の規制など公法上の規制等、道路、鉄道及び公園など、土地の使用状況の連続性及び地域の一体性を分断する場合がある客観的な状況を総合勘案し、利用状況、環境等が概ね同一と認められる、ある特定の用途に供されることを中心としたひとまとまりの地域における標準的な宅地の地積に基づいて判断するのが相当であるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。