定期預金の評価上、既経過利子の額の算出については、解約利率により算出した額から、源泉徴収所得税相当額を控除すべきであるとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
1980/12/12 [相続税法][財産の評価][土地及び土地の上に存する権利]裁決事例集 No.20 - 206頁
定期預金は、一般の貸付金債権のように契約期間を通ずる約定利率が定められているのであるが、預入者が預入期間中に払戻しを受ける場合には、その預入期間に応じた所定の期限前解約利率による利子が付されることになっている。このような定期預金契約を全体としてみると、預入期間に応じて預入期間を通ずる利率が段階的に漸増していき一定期間経過時に一定利率に達する定額郵便貯金契約と、経済的実質的に同質のものと認めるのが相当である。
したがって、定期預金の既経過利子の額については、相続人が定期預金を期限前に解約したか契約期間満了の時まで契約を継続したかにかかわりなく、相続開始の時における期限前解約利率によりこれを計算すべきである。
また、法定果実である利子を実際に取得する際に、その取得者が当該既経過利子を含む利子の全額を対象とする源泉徴収に係る所得税を徴収されるという現行税制を踏まえて、一般的に、当該既経過利子の額に対応する源泉徴収に係る所得税の額に相当する額が取引価額に係る価格形成要因として認識され、当事者間の所得税の負担が調整されていることが認められる。
定期預金に係る既経過利子の額においても、この理は妥当すると認められるから、相続税における定期預金の評価に当たっては、その既経過利子の額に対応する源泉徴収に係る所得税の額に相当する額を価格形成要因として考慮すべきである。
したがって、定期預金の評価上、その預入金額に加えるべき既経過利子の額の評価については、期限前解約利率により算出し、これに対する源泉徴収所得税の額に相当する金額を控除すべきである。
昭和55年12月12日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 定期預金の評価上、既経過利子の額の算出については、解約利率により算出した額から、源泉徴収所得税相当額を控除すべきであるとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(相続税法>財産の評価>土地及び土地の上に存する権利)
- 借地権の価額は、不動産鑑定士が、実際に支払われている賃料に基づく純収益を還元して得た収益価格を標準として、売買事例を基に算定した比準価格等を比較考量して算定した鑑定評価額ではなく、評価基本通達に従って評価した価額が相当であるとした事例
- 贈与によって取得した土地には借地権は存在せず、建物所有を目的とする賃借権以外の賃借権の目的となっている土地として評価すべきであるとした事例
- 有限会社の出資の評価に当たって、賃借人である評価会社が賃借建物に設置した附属設備は、工事内容及び賃貸借契約からみて有益費償還請求権を放棄していると認められるから、資産として有額評価することは相当でないとした事例
- 親子間で使用貸借した土地の相続税評価額は自用地としての価額によるべきであるとした事例
- 定期預金の評価上、既経過利子の額の算出については、解約利率により算出した額から、源泉徴収所得税相当額を控除すべきであるとした事例
- 土地(私道)が不特定多数の者の通行の用に供されていたとは認められないからその土地の価額は自用宅地の価額の60パーセントに相当する金額により評価することが相当であるとした事例
- 相続税の申告期限前に同族法人に対する貸付金の一部が受贈益として確定しているからその部分について回収不能であるとする請求人の主張を排斥した事例
- 相続土地に係る賃借関係の実態は使用貸借と解するのが相当であると認定し、また、相続財産を売却して弁済に充てることを予定している被相続人の保証債務は相続税の債務控除の対象にならないとした事例
- 被相続人は相続開始の8年前に本件土地についてその同族会社を借地人とする建物保有目的の借地権を設定したが、相続開始時には当該会社の建物はなく、当該会社の代表者である請求人の建物が存していたなどの事情に照らし、当該借地権は相続財産評価において借地権と評価する実質を欠いているとして、本件土地は自用地として評価すべきであるとした事例
- 自動車教習所のコースとして貸し付けられている土地に係る賃借権の残存期間は、更新されることが明らかである場合には、更新によって延長されると見込まれる期間をも考慮すべきであるとした事例
- 評価対象地は、標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大とは認められないから広大地に該当しないとした事例
- 相続財産である貸家の空室部分は、一時的に賃貸されていなかったものではないため、評価額の減額は認められないとした事例(平成21年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成26年4月18日裁決)
- 傾斜度が30度を超える土地であることから財産評価基本通達に定める方式ではなく個別評価が相当である旨の主張を認めた事例
- 純資産価額の計算上、法人税額等相当額を控除しないとしても違法ではないとした事例
- 取引相場のない株式の相続税の評価額について、特定の上場会社を比準会社として計算した評価額は採用できないとした事例
- 相続財産は土地所有権移転請求権であり、その評価額は売買価額相当額であるとした事例
- 市街化調整区域内に所在する山林については、高圧線下にあることの影響は皆無であるとはいえないとしても、なおこれをしんしゃくすべき特段の理由があるとは認められないとした事例
- 被相続人の所有に係る相続人の居住用家屋の敷地は、借地権の目的となっている土地ではなく自用地であるとした事例
- 1. 本件贈与土地を評価するに当たり、過去3年分の路線価の平均額に基づいて算定することは相当ではないとした事例2. 本件土地の使用関係は、使用貸借であると認められるから、更地と同様に評価すべきであるとした事例
- 評価対象地は、道路等の公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないから、財産評価基本通達24−4に定める広大地に該当しないとした事例(平成23年11月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し・平成27年11月25日裁決)
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。