周知の埋蔵文化財包蔵地については発掘調査費用の額の80%相当額を控除して評価することが相当であるとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2008/09/25 [相続税法][財産の評価][土地及び土地の上に存する権利]本件各土地は、周知の埋蔵文化財包蔵地に該当すると認められるJ貝塚の区域内に所在し、実際にその一部に貝塚が存在していることから、宅地開発に係る土木工事等を行う場合には、文化財保護法第93条の規定に基づき、埋蔵文化財の発掘調査を行わなければならないことが明らかである。しかも、その発掘調査費用は、その所有者(事業者)が負担することになり、その金額も、発掘調査基準に基づき積算したところ約○億円もの高額になる。そうすると、上記宅地開発における埋蔵文化財の発掘調査費用の負担は、一般的利用が宅地であることを前提として評価される本件各土地において、その価額(時価)に重大な影響を及ぼす本件各土地固有の客観的な事情に該当すると認められ、本件各土地に接面する路線に付されている路線価は、周知の埋蔵文化財包蔵地であることを考慮して評定されたものとは認められず、また、財産評価基本通達上に発掘調査費用の負担に係る補正方法の定めも認められないことから、本件各土地の評価上、当該事情について、所要の検討をするのが相当である。そして、周知の埋蔵文化財包蔵地についての発掘調査費用の負担は、土壌汚染地について、有害物質の除去、拡散の防止その他の汚染の除去等の措置に要する費用負担が法令によって義務付けられる状況に類似するものと認められる。土壌汚染地の評価方法については、課税実務上、その土壌汚染がないものとして評価した価額から、浄化・改善費用に相当する金額等を控除した価額による旨の国税庁資産評価企画官情報に基づく取扱いをしているところ、これは、土壌汚染地について、土壌汚染対策法の規定によってその所有者等に有害物質の除去等の措置を講ずる必要が生じその除去等の費用が発生することなどの要因が、当該土壌汚染地の価格形成に影響を及ぼすことを考慮したものであり、この取扱いは当審判所においても相当と認められる。そこで、本件各土地に存する固有の事情の考慮は、類似する状況における土地評価方法についての取扱いを明らかにした本件情報に準じて行うものとし、本件各土地は、本件各土地が周知の埋蔵文化財包蔵地ではないものとして評価した価額から、埋蔵文化財の発掘調査費用の見積額の80%に相当する額を控除した価額により評価することが相当と認められる。
平成20年9月25日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 周知の埋蔵文化財包蔵地については発掘調査費用の額の80%相当額を控除して評価することが相当であるとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(相続税法>財産の評価>土地及び土地の上に存する権利)
- 使用貸借により貸し付けられている土地について、使用借人が賃貸建物の敷地として利用していても自用地の価額により評価するのが相当であるとした事例
- 地価の急落により時価が路線価を下回る、いわゆる逆転現象が生じているとして、鑑定評価額による申告がなされたが、相続開始日における時価は相続税評価額を上回っていることが認められるとして、原処分庁が相続税評価額により評価したことを相当と認めた事例
- 不整形地の評価をするに当たって原処分庁が採用した想定方法による整形地は財産評価基本通達20に定める想定整形地に当たらないとした事例
- 共同住宅の敷地として利用されている評価対象地は、その周辺地域の標準的な利用状況に照らしても有効利用されていることから、広大地には当たらないとした事例
- 相続により取得した第一種市街地再開発事業に係る施設建築物の一部の給付を受ける権利の価額は、権利変換計画において決定された変換を受けることとなる施設建築物の一部の価額の70%に相当する金額と認めるのが相当とした事例
- 本件貸駐車場は、不整形地ではあるがその程度が比較的小さいので、不整形地補正は適用できず、また、本件賃貸マンションの敷地と一体利用とは認められないので、当該入居者の利用部分は貸家建付地の評価ができないとして請求人らの主張を排斥した事例
- 医療法人の出資持分の評価に際し、相続開始時点において既に退社した社員が出資金払戻請求権を行使していない場合であっても、当該出資持分については、当該退社社員が退社する直前の出資持分の総口数から当該退社社員が有していた出資持分の口数を控除した後の口数を総口数として、財産評価基本通達194−2の定めにより評価するものとした事例
- 請求人の家屋が建築されている宅地は、以前請求人が地上権を有していたが、その建築前に地上権は抹消登記されており、かつ、地代の支払もないから、その貸借は使用貸借と認められ、自用地としての価額により評価するのが相当であるとした事例
- 定期預金の評価上、既経過利子の額の算出については、解約利率により算出した額から、源泉徴収所得税相当額を控除すべきであるとした事例
- 取引相場のない株式の相続税の評価額について、特定の上場会社を比準会社として計算した評価額は採用できないとした事例
- 相続により取得した土地は、いわゆるマンション適地等に該当するので、財産評価基本通達24−4に定める広大地に該当しないとした事例
- 評価対象地がマンション適地等に該当する場合には、財産評価基本通達24−4(広大地の評価)の適用はないとした事例
- 取引相場のない株式につき発行会社との間で譲渡価額を額面価額による旨を誓約している場合において、額面価額による評価は採用できないとした事例
- 出資額限度法人の出資持分の価額は、財産評価基本通達による評価額によるべきであるとした事例
- 特定路線価の評定方法に不合理と認められる特段の事情がない限り特定路線価を正面路線価として評価するのが相当とした事例
- 相続税の申告期限前に同族法人に対する貸付金の一部が受贈益として確定しているからその部分について回収不能であるとする請求人の主張を排斥した事例
- 協業組合の出資の評価については、評価基本通達179を適用して評価することが相当とした事例
- 相続により取得した土地は、いわゆるマンション適地等に該当するので、財産評価基本通達24−4に定める広大地に該当しないとした事例
- 課税時期が合併契約締結後合併期日までの間にある場合において、課税時期における株式の価額は、合併後の会社の純資産価額に影響されないとした事例
- 本件宅地がいわゆる大規模画地(面大地)であるとしても、所在近隣地域の同程度の面積の宅地の売買実例価額と比較してもその評価額は時価を上回るものではないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。