相続開始日現在、都市計画案の生産緑地地区内にあった農地について、相続開始後、生産緑地として指定されたとしても、財産評価基本通達40−2を適用して評価することはできないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2004/06/22 [相続税法][財産の評価][土地及び土地の上に存する権利] 生産緑地とは、生産緑地法第3条第1項に規定する生産緑地地区内の土地であり、生産緑地地区は都市計画法の規定による都市計画の手続により決定される。そして、都市計画の決定及び変更決定は、都市計画案の縦覧などの一定の手続を踏まえて都市計画法第20条第1項の規定による告示により決定し、その効力は、同条3項の規定により当該告示のあった日から生ずることとされている。
請求人は、本件農地は、相続開始日現在において、生産緑地地区内にある農地ではないが、被相続人が生産緑地地区とする都市計画案の同意書を提出し、縦覧対象地域として県報にも公示され、法定申告期限までには生産緑地として告示され制限が加えられているから、財産評価基本通達40−2を適用して評価すべきと主張する。しかしながら、Q都市計画生産緑地地区の効力が生じた日は平成13年11月16日であるから、相続開始日において、本件農地は生産緑地として制限がある土地とは認められないので、財産評価基本通達40−2を適用して評価することはできない。
請求人は、原処分庁の判断には平成3年4月18日参議院建設委員会の附帯決議が全く加味されておらず、違法である旨主張するが、特定市街化区域農地等に係る税制については、平成3年度の税制改正により平成4年において経過措置が講じられており、その限度を超える緩和は予定されていないものと解され、本件農地のように、当該経過措置の適用期間を経過した後に開始した相続により取得した農地等については、たとえ生産緑地の申請をしていたとしても、当該経過措置を適用あるいは準用して財産評価基本通達40−2の生産緑地の評価を適用することはできない。
平成16年6月22日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 相続開始日現在、都市計画案の生産緑地地区内にあった農地について、相続開始後、生産緑地として指定されたとしても、財産評価基本通達40−2を適用して評価することはできないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(相続税法>財産の評価>土地及び土地の上に存する権利)
- 貸付金債権に係る債務者に返済能力等が認められないから、その貸付金債権の評価額は零円であるとした事例
- 医療法人の出資持分の評価は財産評価基本通達に定める方法により算定した価額が相当であるとした事例
- 本件家屋に賃借人が住んでおらず、家賃が未払等であっても、賃貸借契約は継続していると認められることから、本件家屋は貸家として評価すべきであるとした事例
- 純資産価額の計算上、評価会社の資産・負債には、期限未到来のデリバティブ取引に係る債権・債務は計上できないとした事例
- 農地法施行前に設定されていた農地の賃借権について、賃貸借の効力が生じており、農地法第20条《農地又は採草牧草地の賃借権の解約等の制限》第1項の規定の適用があるから、財産評価基本通達9の(7)の耕作権に該当するとした事例
- 被相続人の所有に係る相続人の居住用家屋の敷地は、借地権の目的となっている土地ではなく自用地であるとした事例
- 取引相場のない出資の評価において負債に含まれる未納法人税額は受取生命保険金から死亡退職手当金を控除して計算すべきであるとした事例
- 相続により取得した土地が無道路地であるとの請求人の主張を排斥した事例
- 被相続人は相続開始の8年前に本件土地についてその同族会社を借地人とする建物保有目的の借地権を設定したが、相続開始時には当該会社の建物はなく、当該会社の代表者である請求人の建物が存していたなどの事情に照らし、当該借地権は相続財産評価において借地権と評価する実質を欠いているとして、本件土地は自用地として評価すべきであるとした事例
- 取引相場のない株式を純資産価額方式により評価する場合において、評価会社が負担した弔慰金については、相続財産とみなされず、実質上の二重課税とはならないので、負債に計上する必要はないとした事例
- 借地権の価額は、不動産鑑定士が、実際に支払われている賃料に基づく純収益を還元して得た収益価格を標準として、売買事例を基に算定した比準価格等を比較考量して算定した鑑定評価額ではなく、評価基本通達に従って評価した価額が相当であるとした事例
- 被相続人と請求人との間の土地の使用貸借契約は、宅地転用される前に解除されており、その後の土地の賃貸借契約における賃貸人は被相続人であるから、相続開始時には建物の所有を目的とする賃借権が存するものと認められるとして、借地権相当額を控除して評価するのが相当とした事例
- [1]評価対象地は当該地域の標準的な使用に供されているとはいえず、開発を了しているとはいい難いこと等から広大地に該当するとし、また、[2]無道路地の評価において、実際に利用している路線が二つある場合は、通路開設費用の価額の低い方の路線が利用通路であると解するのが相当であるとした事例
- 借地権の設定されている土地の評価に当たり、自用地としての価額から控除すべき借地権の価額はないとした事例
- 青空駐車場として貸し付けられている雑種地の価額の評価上控除すべき賃借権の価額について、その賃借権が登記されたものではなく、その設定の対価として権利金の授受もないことから、その自用地価額に、残存期間に応ずる相続税法第23条に規定する地上権割合の2分の1に相当する割合を適用して評価した事例
- 貸宅地の評価においては、一般に借地権価額控除方式には合理性があり、また、請求人らが採用した収益還元方式の「純収益」や「還元率」は標準化されたものとは認められないとして、請求人らの主張する評価方式を排斥した事例
- 出資額限度法人の出資持分の価額は、財産評価基本通達による評価額によるべきであるとした事例
- 本件貸駐車場は、不整形地ではあるがその程度が比較的小さいので、不整形地補正は適用できず、また、本件賃貸マンションの敷地と一体利用とは認められないので、当該入居者の利用部分は貸家建付地の評価ができないとして請求人らの主張を排斥した事例
- 相続財産である貸家の空室部分は、一時的に賃貸されていなかったものではないため、評価額の減額は認められないとした事例(平成21年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成26年4月18日裁決)
- 有限会社の出資の評価に当たって、賃借人である評価会社が賃借建物に設置した附属設備は、工事内容及び賃貸借契約からみて有益費償還請求権を放棄していると認められるから、資産として有額評価することは相当でないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。