請求人は、請負工事に係る工事現場から排出される残土等を所有地に搬入して、土石等を選別採取する一方、コンクリート廃材等を廃棄物処理施設に搬出しているが、後者の割合は極めて少量であるから、搬入時点で処理はいったん完了したものと認められ、当該処理費用を請負工事に係る工事原価として見積計上することはできないとした事例
[法人税法][所得金額の計算][損金の額の範囲及び計算]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1994/06/27 [法人税法][所得金額の計算][損金の額の範囲及び計算] 請求人は、その請負工事に係る各工事現場から排出された残土等をその所有する本件土地に搬入しているが、本件事業年度に搬入した残土等につき、処理施設に搬入して処理するために要する費用を見積もって、これを完成工事原価の額として損金の額に算入すべきであるとして、更正の請求をした。
しかし、[1]本件土地は、残土等を分別して、土砂及び石等を取得するとともにコンクリート廃材等を処理施設に搬送するための場所として判断されるものの、[2]処理施設に搬送されたコンクリート廃材等は、残土等の搬入量に比較して極めて少量なことから、本件土地は残土等を分別して処理施設に搬送するまでの仮置場ではなく、主として残土等請求人の事業に利用できるものを取得するための場所として使用されていると判断される。
そうすると、請求人の請負工事に伴い発生する残土等の処理は、本件土地に搬入されたことにより、いったん完了したものと認められる。
したがって、その後発生した費用は、本件事業年度の収益に対応する原価とは認められないから、その見積額を本件事業年度の損金の額に算入することはできない。
平成6年6月27日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人は、請負工事に係る工事現場から排出される残土等を所有地に搬入して、土石等を選別採取する一方、コンクリート廃材等を廃棄物処理施設に搬出しているが、後者の割合は極めて少量であるから、搬入時点で処理はいったん完了したものと認められ、当該処理費用を請負工事に係る工事原価として見積計上することはできないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(法人税法>所得金額の計算>損金の額の範囲及び計算)
- 欠損会社から有償取得した開発費等の償却費は寄付金に当たるとした原処分を相当でないとした事例
- 非常勤の取締役3名に対して支給した役員報酬額は、当該取締役の職務の内容等に照らし不相当に高額であるので、当該取締役の職務の対価として相当であると認められる金額を超える部分の金額は、損金の額に算入することはできないとした事例
- 欠損会社である被合併法人が有していた航路権は営業権に該当すると認定した事例
- 取引先に支払ったとする販売手数料は費途不明であるとはいえないとした事例(平18.10.1〜平23.9.30の各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平18.10.1〜平23.9.30の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・全部取消し、棄却・平成26年7月28日裁決)
- 本件土地の譲渡価額と時価との差額が生ずることについて合理的な理由があるとは認められないから、その差額は寄付金に該当するとした事例
- 請求人が損金の額に算入した上場有価証券の評価損について、当該有価証券の価額が著しく低下した事実はないとした事例
- 請求人が取得した減価償却資産について、租税特別措置法第67条の5の規定は適用できないとしても、償却限度額に達するまでの金額が損金の額に算入されるとした事例
- 請求人の負担した代表者が青年会議所の会議等に出席するための交通費、宿泊費及び日当は、代表者に対する給与に該当するとした事例(平成21年11月、平成22年10月、平成22年11月及び平成23年1月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分、平成24年5月、平成24年7月及び平成25年7月の各月分の源泉徴収に係る不納付加算税の各賦課決定処分・全部取消し、平20.8.1〜平22.7.31の各事業年度の法人税の各更正処分、平23.8.1〜平24.7.31の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、平成21年10月、平成22年6月、平成23年5月、平成23年7月、平成23年10月、平成23年11月、平成24年1月〜7月及び平成24年12月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分、平成25年7月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税告知処分・一部取消し、平22.8.1〜平23.7.31の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分ほか・棄却・平成27年7月28日裁決)
- 給料手当勘定に含めて支出した金員は慶弔費等の支払に充てられた事実はなく役員賞与に該当するとした事例
- 期末に一括支給した役員報酬の増額改定差額は臨時的な給与であり役員賞与に該当するとした事例
- 役員就任3か月後に一括支給した報酬増加差額は、臨時的な給与ではなく、役員報酬に該当するとした事例
- 飲食業を営む前賃借人からその各店舗を転借するに際し支払った対価は営業権の対価ではなく繰延資産の対価であるとした事例
- 本件各貸付金に係る貸倒損失については、貸倒れの事実が認められず、あるいは当該事業年度以前に貸倒れの事実が生じていたと認められるとして、それを当該各事業年度の損金の額に算入することはできないとした事例
- スキー場開設のために支出した村道改良費は繰延資産に該当するとした事例
- 請求人が本件退職金を支出したのは、新出資者が支払うべき本件出資持分の譲受代金の一部を負担した行為に当たるから、本件退職金は新出資者に対する寄付金と認めるのが相当であるとした事例
- 各役員への給与に係る支払債務は実際に確定し、請求人においてその支給事務が行われたのであるから、当該役員給与は架空のものとは認められないとした事例
- 鉄道の高架下を賃借するために支払った権利金は繰延資産ではなく借地権類似の権利の対価に当たるとした事例
- 役員報酬の一部を未払金として経理し、その未払金を一般の賞与支給時期に支払うなどしていた事例につき、当該未払金に相当する金額は、臨時的な給与と認められ、役員賞与に該当するとした事例
- 子会社株式の価額の回復可能性の判断は、将来の回復可能性について判断するのであるから、事業年度終了の時までの当該子会社の業況等や既に行われた事実のみで判断するのではなく、既に具体的に実行することが決定されている事業計画等がある場合には、これについても含めて判断するのが相当であるとして、子会社株式の評価損の計上は認められないとした事例
- 預託金制から株式制に転換されたゴルフ会員権(株式)について、1株当たりの純資産価額には著しい下落は認められないとして株式の評価損の計上を認めなかった事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。