破産会社が関係会社の負債の弁済義務を負うとした判決に基づき支払われた弁済額は、もはや関係会社に対して求償権を行使できない状況にあるから、支払った事業年度の損金の額に算入することができるとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2007/11/20 [法人税法][所得金額の計算][損失の帰属事業年度] 原処分庁は、本件判決の確定により、破産会社が本件遅延損害金の支払義務を負うことが確定したとしても、仮に破産会社がA社に本件遅延損害金を弁済すると、破産会社は関係会社に対して求償債権を取得するから、最終的な破産会社の負担額は確定していない。また、仮に関係会社に対する求償債権が事実上貸倒れにあり、回収することができない状態にあったとしても、貸倒損失を損金の額に算入するためには損金経理をしておく必要があるが、破産会社は、本件遅延損害金につき損金経理をしていないから、貸倒損失を計上することができない旨主張する。
この点について、本件判決が確定しただけでは、破産会社が本件遅延損害金の全額を負担することが確定したということはできないから、本件判決の確定のみをもって、本件遅延損害金を、法人税法第22条第3項第2号の費用として、本件事業年度の損金の額に算入することはできない。
しかしながら、A社は、本件事業年度内において、地裁等から強制管理に係る本件配当金を受領してこれを全額貸金債権の元本に充当しているところ、その時点で破産会社は関係会社に対する当該配当金相当額の求償債権を有することになるが、破産会社が上記貸金債権の弁済責任を負うに至った経過や関係会社の財産状況等から、破産会社が当該配当金相当額の最終的な負担者となることは明らかであったと認められるから、そのような求償債権を、形式上、資産として計上しなければならないとすることは相当ではなく、破産会社は、当該配当金相当額を、法人税法第22条第3項第3号の損失として、本件事業年度の損金の額に算入することが許されるというべきである。
平成19年11月20日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 破産会社が関係会社の負債の弁済義務を負うとした判決に基づき支払われた弁済額は、もはや関係会社に対して求償権を行使できない状況にあるから、支払った事業年度の損金の額に算入することができるとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(法人税法>所得金額の計算>損失の帰属事業年度)
- ひも付きの見合関係にない営業外損益については特定の期間損益事項に係る取扱いの適用が認められるとした事例
- 本件事業年度の損金の額に算入した過年度棚卸資産廃棄損は、本件事業年度前の仮装経理における棚卸資産過大計上額であって、本件事業年度において生じた損失ではないから、本件事業年度の損金の額には算入されないとした事例
- 法人の代表者が法人の業務に関連してした保証債務を当該法人が無償で引き受けたことによる負担額は、債務の引受けの時ではなく、現実にこれを履行した時の損金の額に算入されるとした事例
- 山砂売買契約に基づきその事業年度中の山砂採取量に対応する採取跡地の埋戻し費用を原価としてその事業年度の損金に算入することとした事例
- 未払金経理により損金の額に算入した従業員賞与の額は当期末までに債務が確定していないから、損金算入は認められないとした事例
- 請求人が有する売掛債権は、その債権が消滅した事業年度の貸倒損失となるとした事例
- 当該事業年度末に約束手形で支給された翌事業年度の年俸制に係る役員報酬及び従業員給与については、当該事業年度内に具体的な役務提供がされておらず、また、会計上重要性の乏しい費用とは認められないから、当該事業年度の損金の額に算入できないとした事例
- 本店ビルの新築工事に際し、その共同事業者に支払った竣工時までの建中金利相当額は本店ビルの取得価額に算入すべきものとされた事例
- 代表者へのゴルフ会員権の譲渡は、名義変更停止期間中であったとはいえ、実体を伴った取引であるので、その譲渡に係る損失の計上は相当であるとした事例
- 請求人が損金の額に算入した使用人に対する未払の決算賞与は、労働協約又は就業規則で定められた支給予定日が到来しているとは認められず、事業年度終了の日の翌日から1月以内に支払われていないことから、実際に支払った日の属する事業年度において損金の額に算入すべきであるとした事例
- 社債の払込みに充てられた従業員の特別賞与は損金算入できないとした事例
- 死亡保険金から支払義務を負う遺族補償金の最低限度である死亡保険金の50%相当額は、死亡保険金を受け取った事業年度において損金の額に算入されるとした事例
- 破産会社が関係会社の負債の弁済義務を負うとした判決に基づき支払われた弁済額は、もはや関係会社に対して求償権を行使できない状況にあるから、支払った事業年度の損金の額に算入することができるとした事例
- 日経平均株価指数オプション取引に係るオプション料等は当該権利の取得価額を構成するものであるとした事例
- 分割払の示談金は支払期日の到来する都度その債務が確定するとした事例
- 付保されている車両の盗難に係る損失は、その保険金が確定するまでの間、仮勘定(未決算勘定)として処理すべきであるとした事例
- 従業員に対する決算賞与について期末までに債務が確定しているとして損金算入を認めた事例
- 信用保証料は、一定の契約に従い継続して役務の提供を受けるために支出した費用に当たるというべきであり、事業年度末において未経過の保証期間に対応する額は、前払費用とすることが相当であるとした事例
- 預託金制ゴルフクラブの会員権につき、預託金の据置期間直前に、ゴルフクラブ経営会社との合意に基づいて、会員権が2口に分割され、預託金の一部が返還されたとしても退会したとみることができない以上、資産に計上している入会登録料を損金の額に算入することは認められないとした事例
- 建物附属設備の除却損について、当該建物附属設備に係る建物が売却された日の属する事業年度の損金の額に算入されるとした事例(平24.3.1〜平25.2.28事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・全部取消し・平成27年11月30日裁決)
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。