遺贈に対して遺留分による減殺請求がなされている場合であっても、各共同相続人の取得財産の範囲が具体的に確定するまでは、受遺者の課税価格はそれがないものとして計算した金額によるとされた事例
[相続税法][相続税の課税価格の計算][債務控除]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2000/06/23 [相続税法][相続税の課税価格の計算][債務控除][1]請求人は、平成9年8月20日、家庭裁判所の遺言の検認の際、「遺言書の筆跡は、遺言者のものだと思います。名下等の印影も、遺言者が使用していた印章によるものに間違いありません。」と陳述していること、[2]請求人は、本件遺言に係る遺贈の放棄をしておらず、他の相続人からされている遺言無効及び相続欠格の主張を争っていること、[3]本件遺言の効力及び相続欠格事由の有無については、他の相続人から裁判外において主張されているにすぎず、訴え等の提起はされていないことを考慮すれば現時点においては本件遺言は有効であり請求人は相続欠格者でないことを前提として、その課税関係を判断するのが相当である。
遺留分減殺請求がなされていても、各共同相続人の取得財産の範囲が具体的に確定するまでは、その遺留分減殺請求がなかったものとして課税価格を計算するのが相当であると解され、そのように解しても、取得財産の範囲が具体的に確定した際には、相続税法第32条の更正の請求、同法第30条又は第31条の期限後申告又は修正申告、同法第35条の更正等による是正手段がある以上、不都合はない。
平成12年6月23日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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