信用保証料は、一定の契約に従い継続して役務の提供を受けるために支出した費用に当たるというべきであり、事業年度末において未経過の保証期間に対応する額は、前払費用とすることが相当であるとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2007/02/27 [法人税法][所得金額の計算][損失の帰属事業年度] 本件各信用保証は、請求人が本件銀行から融資を受けるに際し、信用保証協会に信用保証を委託し、同協会が本件銀行に信用保証書を交付することにより成立したものであり、保証債務の履行は保証期間が満了するまでの間は有効に成立している。そして、本件各信用保証料の額は、それぞれ、保証金額、保証期間(日数)、保証料率及び分割返済回数別係数を基に算定されている。
これらの事実を総合考慮すれば、本件各信用保証料が、本件各信用保証の保証期間の始期から満了時までの費用であることは明らかであるから、本件各信用保証料は、一定の契約に従い継続して役務の提供を受けるために支出した費用に当たるというべきである。
また、信用保証協会による本件各信用保証は、融資実行時に本件銀行に対して保証承諾をすることのみではその役務の提供は終了しておらず、本件銀行からの融資が実行された後も、その融資が継続している全期間にわたって信用保証を行うという役務を提供しているのであるから、「本件各信用保証料は、保証の承諾をしたことに対する対価で一時に損金の額に算入すべきである」とする請求人の主張は採用できない。
以上のとおり、本件各信用保証料は一定の契約に従い継続して役務の提供を受けるために支出した費用に当たるところ、本件各信用保証料には、本件各事業年度末において未経過の保証期間に係るものがあるので、未経過期間に対応する額は、前払費用として経理処理することが相当である。
なお、原処分庁は、前期に繰上完済した場合に返済を受ける信用保証料の額と当期に繰上完済した場合に返済を受ける信用保証料の額との差額を当期の損金の額に算入すべき費用の額と算定しているが、その算定方法は合理的であると認められる。
そうすると、本件各事業年度の所得金額及び納付すべき税額は、いずれも原処分の額と同額となる。
平成19年2月27日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 信用保証料は、一定の契約に従い継続して役務の提供を受けるために支出した費用に当たるというべきであり、事業年度末において未経過の保証期間に対応する額は、前払費用とすることが相当であるとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(法人税法>所得金額の計算>損失の帰属事業年度)
- 本件事業年度の損金の額に算入した過年度棚卸資産廃棄損は、本件事業年度前の仮装経理における棚卸資産過大計上額であって、本件事業年度において生じた損失ではないから、本件事業年度の損金の額には算入されないとした事例
- 法人の代表者が法人の業務に関連してした保証債務を当該法人が無償で引き受けたことによる負担額は、債務の引受けの時ではなく、現実にこれを履行した時の損金の額に算入されるとした事例
- 代表者へのゴルフ会員権の譲渡は、名義変更停止期間中であったとはいえ、実体を伴った取引であるので、その譲渡に係る損失の計上は相当であるとした事例
- 未払金経理により損金の額に算入した従業員賞与の額は当期末までに債務が確定していないから、損金算入は認められないとした事例
- ひも付きの見合関係にない営業外損益については特定の期間損益事項に係る取扱いの適用が認められるとした事例
- 分割払の示談金は支払期日の到来する都度その債務が確定するとした事例
- ゴルフ場開発事業について、その許認可及び土地の取得を請け負った法人が支出した、[1]工事設計申請業務の委託料及び[2]環境影響調査委託手数料等の額は、ゴルフ場開発のために要した費用として棚卸資産に計上すべきであるとした事例
- 付保されている車両の盗難に係る損失は、その保険金が確定するまでの間、仮勘定(未決算勘定)として処理すべきであるとした事例
- 納入申告されていない料理飲食等消費税について債務が確定していないとした事例
- 公正処理基準に反しない会計処理の方法により決算を確定させて確定申告を行った後に、その会計処理方法を遡及して変更することは許されないとした事例
- 経営不振のため、支払債務の発生事業年度に損金に算入しなかった借入金の利息を経営好転後に支払っても、その支払の日の属する事業年度の損金には算入されないとした事例
- 破産会社が関係会社の負債の弁済義務を負うとした判決に基づき支払われた弁済額は、もはや関係会社に対して求償権を行使できない状況にあるから、支払った事業年度の損金の額に算入することができるとした事例
- 建物附属設備の除却損について、当該建物附属設備に係る建物が売却された日の属する事業年度の損金の額に算入されるとした事例(平24.3.1〜平25.2.28事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・全部取消し・平成27年11月30日裁決)
- 信用保証料は、一定の契約に従い継続して役務の提供を受けるために支出した費用に当たるというべきであり、事業年度末において未経過の保証期間に対応する額は、前払費用とすることが相当であるとした事例
- 旧養老保険契約から新養老保険契約への転換がその後取り消されても、転換に伴って発生した収益を転換時に遡って修正するのではなく、取り消されたときの事業年度の損金として処理するとした事例
- 本店ビルの新築工事に際し、その共同事業者に支払った竣工時までの建中金利相当額は本店ビルの取得価額に算入すべきものとされた事例
- 社債の払込みに充てられた従業員の特別賞与は損金算入できないとした事例
- 死亡保険金から支払義務を負う遺族補償金の最低限度である死亡保険金の50%相当額は、死亡保険金を受け取った事業年度において損金の額に算入されるとした事例
- 山砂売買契約に基づきその事業年度中の山砂採取量に対応する採取跡地の埋戻し費用を原価としてその事業年度の損金に算入することとした事例
- 日経平均株価指数オプション取引に係るオプション料等は当該権利の取得価額を構成するものであるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。