借地人に対する立退料支払債務は、確実と認められる債務といえ、債務控除の対象になると認められるが、借地権の引渡請求権(立退料の金額と同額)が相続財産となるので相続税の課税価格は減額されないとした事例
[相続税法][相続税の課税価格の計算][債務控除]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1999/02/19 [相続税法][相続税の課税価格の計算][債務控除] 本件土地については、合意契約により同土地についての賃貸借契約を解除し、借地権を買い戻すことが合意されたのは相続開始より前であること及び相続開始の時点において、合意契約による立退料の全額が未払いであったことがそれぞれ認められる。
そうすると、合意契約による借地権の買戻しの対価としての性格を有するところの立退料は、相続開始の時点までに成立し、それが未払いであり、かつ、当該債務について具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していたというべきであるから、確実と認められる債務に該当するといえる。
一方、被相続人は、本件土地に係る借地権の引渡請求権を有していたと認められ、請求人は、本件土地の底地及び借地権の引渡請求権を相続したものといえる。そして、借地権の引渡請求権の価額は、合意契約において定められた借地権の代価の額(立退料の額)とするのが相当である。
したがって、合意契約による立退料支払債務が債務控除されたとしても、借地権の引渡請求権が相続財産となるので、本件相続に係る課税価格は減額されない。
平成11年2月19日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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