請求人が被相続人から承継した連帯保証債務は、相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」には当たらず、債務控除の対象とならないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2013/09/24 [相続税法][相続税の課税価格の計算][債務控除]《要旨》 請求人は、相続税法第14条《控除すべき債務》第1項に規定する「確実と認められるもの」について、主たる債務者が弁済不能で保証債務の履行が必要であり、保証債務履行後の求償権の行使が不可能であるという条件が相続開始日に現実に存在しているだけでなく、相続開始日における主たる債務者の財産状態や信用能力を客観的に観察した結果、当該条件に該当する事実が潜在的に存在する場合にも、保証債務は同項に規定する「確実と認められるもの」に当たるという解釈を前提に、本件における被相続人(本件被相続人)が代表社員に就任したN社及びQ社(本件各会社)の金融機関からの借入れに係る本件被相続人の各連帯保証債務は、同項に規定する「確実と認められるもの」に当たる旨主張する。
しかしながら、保証債務が相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」に該当するのは、相続開始時点を基準として、主たる債務者がその債務を弁済することができないため保証人がその債務を履行しなければならない場合で、主たる債務者に求償しても補填を受ける見込みがないことが客観的に認められる場合に限られることからすると、請求人の同項に規定する「確実と認められるもの」の解釈は、保証債務一般の性質を述べるものであって、正当な解釈とはいえない。本件各会社は、本件被相続人の相続開始日において、債務超過の状況にはなく、また、各金融機関に対して弁済条件に従った返済を行っていることなどからすると、本件各会社が債務を弁済することができないため、保証人である本件被相続人がその債務を弁済しなければならい場合であったとは認められない。
《参照条文等》 相続税法第14条 相続税法基本通達14−3
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人が被相続人から承継した連帯保証債務は、相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められるもの」には当たらず、債務控除の対象とならないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(相続税法>相続税の課税価格の計算>債務控除)
- 被相続人名義で取得した不動産及び当該不動産の取得資金に充てられた借入金につき、相続財産及び被相続人の債務とは認められないとした事例
- 本件借入金については、その借入れに係る借用証書に債権者の住所、氏名等の主要事項が記載されていない等多くの疑問点及び不自然な点があることから、債務は存在しなかったと認定した事例
- 相続開始後に成立した和解に基づく債務は相続税法第14条に規定する債務に該当しないとした事例
- 相続人らが所有する取引相場のない株式は、被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けたものと認定した事例
- 遺産分割協議は有効に成立しており、当該遺産分割協議に基づく決定処分は違法とは認められないとした事例
- 土地区画整理事業において見込まれる減歩部分に相当する金額は相続債務ではないとした事例
- 相続開始前3年以内に贈与により取得した財産は贈与税の更正・決定等の期間経過後であっても相続税の課税価格に加算すべきであるとした事例
- 団体信用生命保険契約に基づき被相続人の死亡を保険事故として支払われる保険金により充当される被相続人の債務は債務控除の対象にならないとした事例
- 使用人に対する退職金債務 | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所 本文へジャンプします サイト内検索 検索の仕方 利用案内 サイトマップ 関連リンク ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例要旨 >> 相続税法関係 >> 使用人に対する退職金債務 「関係税法」を選択すると、該当の税法関係の事例選択ページに移動します。menu("相続税法関係")| 閲覧方法 | 相続税の課税価格の計算 使用人に対する退職金債務 分割財産に係る課税価格 非課税財産 債務控除 借入金 敷金、保証金等 判決、訴訟上の和解による債務 物上保証、連帯債務等 使用人に対する退職金債務(1件) 保証債務 その他 相続開始前3年以内の贈与 その他 被相続人の事業を承継した相続人が従業員等に支払った被相続人時代の退職金は相続債務ではないとした事例
- 相続財産の額から控除される債務に関し、貸宅地の立退きの合意は相続開始後であり、請求人は申告上当該宅地を貸宅地として評価していること等から、立退きに係る支払債務は確実と認められる債務に該当しないとした事例
- 相続税法基本通達13−3ただし書の定めにより、他の共同相続人の債務等超過分を請求人の課税価格から控除するためには、債務等超過分を控除することが可能な者の合意が必要であるとした事例
- 遺産分割調停中である場合には、相続税の更正等を行えないとする税法上の規定はなく、原処分は適法であるとした事例
- 被相続人が米国f州にジョイント・テナンシーの形態で所有していた不動産について、生存合有者(ジョイント・テナンツ)が取得した被相続人の持分は、みなし贈与財産に該当し、相続税の課税価格に加算されるとした事例(平成21年12月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の変更決定処分、平成21年12月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平成21年12月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の各賦課決定処分・全部取消し、一部取消し、棄却・平成27年8月4日裁決)
- 遺産分割協議時に、共同相続人間で分割協議対象財産として認識されていない財産があった場合には、遺産分割協議書に「本書に記載のない財産は特定の者に帰属する」旨の記載があったとしても、当該財産は未分割財産とみるのが相当であるとした事例
- 判決によって給付を命じられた不当利得返還債務の額は相続税法第14条に規定する確実と認められる債務に該当するとした事例
- 相続開始後の和解で相続権確認の訴えの取下げの代償として支払うこととした金銭債務は相続債務ではないとした事例
- 請求人が、被相続人の財産から親族に支払った金員は、相続開始後に成立した贈与契約に基因するもので、相続開始の際に現に存する確実な債務ではないとした事例
- 借地人に対する立退料支払債務は、確実と認められる債務といえ、債務控除の対象になると認められるが、借地権の引渡請求権(立退料の金額と同額)が相続財産となるので相続税の課税価格は減額されないとした事例
- 遺言執行者に対する報酬(遺言執行費用)支払債務は、相続税法第13条に規定する債務に該当しないとした事例
- 被相続人と受遺者との連帯債務につきその全額を債務控除すべきであるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。