帳簿及び請求書等の保存要件を充足するとして消費税の仕入税額控除の適用を認めた事例(平成26年分以後の所得税の青色申告の承認の取消処分、平成26年分から平成29年分及び令和元年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平成30年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに重加算税の賦課決定処分、平成26年分及び令和元年分の所得税及び復興特別所得税の各再更正処分、平成29年分及び平成30年分の所得税及び復興特別所得税の各再更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分、平成27年分及び平成28年分の所得税及び復興特別所得税の各再更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各変更決定処分、平成26年1月1日から平成28年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平成29年1月1日から平成30年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分、平成26年1月から令和元年6月までの各期間の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の各納税告知処分並びに重加算税の各賦課決定処分・棄却、一部取消し、棄却、却下、一部取消し、棄却、却下、一部取消し)
裁決事例(国税不服審判所)
[消費税法][税額控除等][仕入税額控除][仕入税額控除の不適用]《ポイント》 本事例は、原処分庁が調査を行った日において消費税の請求書等の保存を要する期間を経過していた課税期間について、当該課税期間の帳簿は保存されていたことから帳簿及び請求書等の保存要件を充足しているとして、当該課税期間に係る支払対価の額が3万円以上の取引についても仕入税額控除が適用されるとしたものである。
《要旨》 請求人は、平成26年1月1日から同年12月31日まで(平成26年課税期間)、平成27年1月1日から同年12月31日まで(平成27年課税期間)及び平成28年1月1日から同年12月31日まで(平成28年課税期間)の各課税期間(本件3課税期間)の消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第7項の規定に係る帳簿(法定帳簿)及び請求書等(法定請求書等)は、消費税等の実地の調査の初日に保存があり、調査担当職員に対し法定帳簿を提示し、また法定請求書等についても提示しようとしていたことなどから、本件3課税期間においては課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円以上の取引についても仕入税額控除が適用されるべきである旨主張する。
しかしながら、法定請求書等を実際に保存している場合において、税務職員が法定請求書等を検査することができるときに限り、仕入税額控除の適用が認められるところ、平成27年課税期間及び平成28年課税期間については、請求人は調査担当職員に対して法定請求書等を、その保存を要する期間内に適時に提示しなかったのであるから、課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円以上の取引については仕入税額控除が認められない。一方で、原処分庁は、本件3課税期間の法定請求書等の保存はない旨主張するが、平成26年課税期間の処分の適法性に関し具体的に主張しておらず、同課税期間については、調査初日において法定請求書等の保存を要する期間を経過しており、よって、平成26年課税期間の消費税等については、課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円以上の取引についても仕入税額控除が適用される。
《参照条文等》 消費税法第30条第1項、第7項 消費税法施行令第50条第1項 消費税法施行規則第15条の3
《参考判決・裁決》 平成15年6月26日裁決(裁決事例集No.65)
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