法人の代表者が法人の業務に関連してした保証債務を当該法人が無償で引き受けたことによる負担額は、債務の引受けの時ではなく、現実にこれを履行した時の損金の額に算入されるとした事例
[法人税法][所得金額の計算][損失の帰属事業年度]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1985/08/31 [法人税法][所得金額の計算][損失の帰属事業年度]裁決事例集 No.30 - 113頁
請求人は、主たる債務者の死亡等により連帯保証の名義人である請求人の代表者が履行すべきこととなった本件保証債務につき、請求人が負担することとした債務の損金計上時期について、その負担することとした債務は、請求人が債権者と交渉して負担額及び支払方法を決定したのであるから、民法第513条の規定により新たな債務というべきであり、仮に保証債務であるとしても、主たる債務者が存在せず、初めから求償権が発生しないのであるから、いずれにしても、債権者と負担額及び支払方法について合意した時に損金として確定していると主張するが、本件保証債務は、請求人の業務に関連するものと認められるものの、当事者間において債務の要素を変更する契約がなされた事実がないから、請求人の負う債務が新たな債務であるという主張は採用できず、請求人は本件保証債務を代位弁済するにすぎないこと及び代位弁済により生ずる代表者に対する求償権を放棄していることからすると、当該求償権が発生し、これを放棄することとなる代位弁済の実行時点ではじめて損金とすべきである。
昭和60年8月31日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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