請求人の事業所得の金額等を類似同業者の平均売上原価率を用いて推計する方法には合理性があるとした事例(平成21年分以後の所得税の青色申告の承認の取消処分、平成21年分〜平成23年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平21.1.1〜平21.12.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、平22.1.1〜平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却、一部取消し・平成26年6月18日裁決)
裁決事例(国税不服審判所)
2014/06/18 [所得税法][推計課税]《ポイント》 本事例は、原処分庁が請求人の事業所得の金額等を類似同業者の平均売上原価率等を用いて推計するに当たり、類似同業者を請求人の売上原価の0.5倍以上2倍以下であるなど、機械的に抽出しており、その抽出方法には合理性があると認められるものの、原処分庁が選定した類似同業者のうちに、立地条件等からみて必ずしも請求人と業態が類似するとは認められない者が含まれていることから、この者を類似同業者から除外して、原処分庁が採用した推計の方法により請求人の事業所得の金額等を算定することが相当であるとしたものである。
《要旨》 原処分庁は、請求人と事業内容・規模等が類似すると認められる青色申告者(平成21年分7件、平成22年分4件、平成23年分5件)の平均的な売上原価率(総収入金額に対する売上原価の割合)に基づいて、請求人の事業所得の金額及び消費税の課税標準額を推計の方法により算定しており、原処分庁の推計の方法には合理性がある旨主張する。
原処分庁は、請求人が営む店舗の所在地を管轄する税務署管内に事業所を有し、同税務署長に対し青色申告書を提出する者で、請求人と業種、業態及び事業内容が類似し、かつ、売上原価が請求人の売上原価の0.5倍以上2倍以下であるなど事業規模が類似する者を、類似同業者として機械的に抽出しており、このような抽出の方法については合理性があると認められるものの、原処分庁が選定した類似同業者のうち平成21年分の1件については、立地条件等からみて必ずしも請求人と業態が類似するとは認められないから、この者を類似同業者から除外することが相当である。
《参照条文等》 所得税法第156条
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