死亡した父親の医療費|所得税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
父親は入院加療中に死亡し、父親の死亡後に入院加療期間の医療費を請求されました。この医療費は、相続人である長男が支払いましたが、被相続人である父親の医療費控除の対象となりますか、あるいは相続人である長男の医療費控除の対象になりますか。
【回答要旨】
父親が治療等を受けた時の現況で父親と長男が生計を一にしている場合は、長男の医療費控除の対象となります。
その年の医療費控除の対象となる医療費の金額は、その年中に実際に支払われた金額に限られ、未払の医療費は現実に支払われるまで医療費控除の対象とはなりません(所得税基本通達73-2)。このため、被相続人の死亡後に支払われた医療費は、たとえ相続財産で支払われた場合であっても、被相続人が支払ったことにはならないので、被相続人の準確定申告上、医療費控除の対象にすることはできません。
一方、自己と生計を一にする親族に係る医療費は、医療費を支出すべき事由が生じた時又は現実に医療費を支払った時の現況において自己と生計を一にする親族に係る医療費をいうこととされています(所得税基本通達73-1)。
したがって、照会の場合は、医療費を支出すべき事由が生じた時、すなわち、その医療費の請求の基となった治療等を被相続人である父親が受けた時に、長男と父親が生計を一にしていたのであれば、その医療費は、相続人である長男の医療費控除の対象となります。
【関係法令通達】
所得税基本通達73-1、73-2
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/05/57.htm
関連する質疑応答事例(所得税)
- 遠隔地の病院において医師の治療を受けるための旅費
- 数年間にわたり支払を受ける保険金
- 不妊症の治療費・人工授精の費用
- 非居住者である役員が税制適格ストックオプションを行使して取得した株式を譲渡した場合
- 金やポーセレンを使用した歯の治療費
- ストックオプション契約の内容を税制非適格から税制適格に変更した場合
- 肉豚価格差補事業に係る返還金
- 事業用固定資産の取得に伴う生命保険契約の保険料
- 死亡した父親の医療費
- 湯治の費用
- 外貨建取引による株式の譲渡による所得
- 確定給付企業年金規約に基づいて年金受給者が老齢給付金の一部を一時金で支給を受けた場合
- 適格退職年金制度廃止後に継続している退職年金契約
- 「ふるさと寄附金」を支出した者が地方公共団体から謝礼を受けた場合の課税関係
- 同居していない母親の医療費を子供が負担した場合
- 民法上の相続人が不存在の場合の準確定申告の手続
- 肉用牛の5%課税の適用を受ける場合の住宅借入金等特別控除
- 新築の日前2年以内に取得した土地等の先行取得に係る借入金(家屋に抵当権の設定がない借入金)
- 住宅借入金等特別控除の再適用を受けるための手続(転居前における手続)
- 死亡した配偶者の父母に係る扶養控除
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。