メーカークーポン広告の課税関係|消費税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
クーポン付き広告のうち、メーカーが実施するメーカークーポンと称するものは、新聞本紙、別刷り、折り込み広告の形で行われ、広告内に商品の割引券(クーポン)、見本等請求券、資料請求券が刷り込んであります。
クーポン方式の場合、消費者はこの部分を切り取って、クーポンを取り扱っている小売店に持参すれば、記載された金額分を店頭の売価から差し引いた価格で当該商品を購入できます。
また、クーポンの回収は、クリアリングハウスと呼ばれる回収業務の専門業者が行い、小売店はクーポンで値引きした金額と回収手数料をクリアリングハウスを通してメーカーから受け取ります。
(新聞広告を使ったメーカークーポンの流れは別紙1のとおり)
この小売店、クリアリングハウス及びメーカーにおけるメーカークーポンの課税関係はどうなるのでしょうか。
(参考)
クリアリングハウスの性格
メーカークーポンの基本的な流れは、
メーカーはクーポンテクニック(新聞広告、クーポン雑誌、小売店での直接配布等)により、消費者の手元にクーポンを配布します。
消費者はその中から利用したい商品のクーポンを持参し、その商品の購入時にクーポンを小売店に提出することによって、クーポンの額面分の値引きサービスを受けます。
クーポン上に保証している額面を小売店が一時立て替えます。
立て替えた小売店はメーカーに立替え額の請求を行います。
メーカーは、その立替え額を小売店に支払います。
このような流れの下で、メーカーと小売店との間に立ち、クーポンの回収、チェック、仕分け、精算業務を専門に行い、合理化を図ることを目的として設立されているのが、クリアリングハウスです。
【回答要旨】
1 小売店が行うクーポン持参の消費者に対する商品販売
クーポンを持参した消費者に対する商品の販売は、店頭価格(消費税及び地方消費税を含んだ金額)からクーポンに記載された金額を差し引いた金額で行われますが、実質はクーポンと引換えにメーカーが行うキャッシュバック相当額を小売店が立て替えているのと同様であり、あたかも商品代金の値引き販売のように見えるだけにすぎません(小売店は自己の営業政策のために販売価格を値引いているものではなく、メーカーから補てんされる金額を差し引いた金額を消費者に請求しているだけです。)。
したがって、商品の店頭価格を対価とする資産の譲渡に該当します。
2 クリアリングハウスが行う小売店からのクーポンの回収
クリアリングハウスから小売店へ支払われる手数料は、クリアリングハウスに対するクーポン回収(小売店からクーポン回収することによりクリアリングハウスはメーカーから回収料を得ることができます。)という役務提供の対価であることから課税対象となります。
3 クリアリングハウスが行うメーカーへのクーポンの回収実績の報告
メーカーからクリアリングハウスへ支払われる回収料は、クーポンの回収実績の報告及びその精算事務という役務提供の対価であることから課税対象となります。
4 メーカーがクリアリングハウスを通して小売店に支払う商品値引額の支払
メーカーがクリアリングハウスを通して小売店に支払う商品値引額は、小売店がクーポンを持参した消費者に対してメーカーが行うべきキャッシュバック相当額の立替金を精算しているものであり、メーカーとクリアリングハウスとの間及びクリアリングハウスと小売店との間に課税関係は生じません。
当該商品値引額は、メーカーが消費者に対して行ったキャッシュバックに係る金銭であることから、消費税法第38条第1項に規定する「売上げに係る対価の返還に係る金額」に該当することになります。
【関係法令通達】
消費税法第38条
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/15/05.htm
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