耕作権が三者契約により収用の対償に充てるために買い取られる場合|譲渡所得
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
甲が農地法の許可を受けて乙に貸し付けていた農地の約1/2が丙(県)の県道事業のために買収されることとなりましたが、甲が金銭による補償に代えて当該農地の残地に係る乙の耕作権の消滅を希望しました。そこで、甲、乙及び丙の三者で、甲と乙との賃貸借契約を農地法の規定により解約することによりその農地に係る耕作権を消滅させ、乙はその消滅の対価を丙から直接受け取ることとしました。
この場合の乙の受け取る耕作権の消滅の対価は、収用等の対償に充てるために収用等の買取りを行う者によって買い取られる場合に該当するものとして、1,500万円控除の特例を適用して差し支えないでしょうか。
【回答要旨】
土地収用法に規定する替地(収用対償地)には、耕作権等の土地の上に存する権利も含まれますから、耕作権も1,500万円控除の特例の適用対象となる土地等に該当します。しかし、収用事業の施行者が替地とする目的で耕作権を取得することは、農地と同様、農地法の規定により認められていないことから、照会のような方法をとらざるを得ないものと考えられます。
したがって、乙の耕作権の譲渡については、収用対償用地が農地等である場合の取扱い(措通34の2-4)に準じて、1,500万円控除の特例を適用して差し支えありません。
【関係法令通達】
租税特別措置法第34条の2第2項第2号
租税特別措置法関係通達34の2-4
農地法第3条
土地収用法第82条
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/joto/16/13.htm
関連する質疑応答事例(譲渡所得)
- 古都保存法第11条第1項の規定により土地等が買い取られる場合の租税特別措置法第34条の2,000万円控除の特例における「一の事業」の判定
- 機構の有する土地との交換
- 集会所敷地に充てるための保留地指定があった土地との交換
- 土地開発公社が土地区画整理事業施行地内の土地を公共施設用地として代行買収する場合(2号)
- 権利変換を希望しない旨の申出をしないで取得した補償金
- 「買取り等の申出のあった日」の判定
- 家屋と土地の所有者が異なる場合で家屋について譲渡益が算出されないときの3,000万円の特別控除と住宅借入金等特別控除の関係
- 公有地の拡大の推進に関する法律の協議に基づく買取り(譲渡制限期間経過後の譲渡)
- 文化財保護法により史跡として指定された土地の上に存する立木又は耕作権を譲渡した場合
- 第1次相続の申告期限前に第2次相続が開始した場合の特例を適用できる譲渡の期限
- 農地を寄附した場合の寄附年月日
- 交換の特例に係る「1年以上有していた固定資産」の意義
- 寄附者等に対する特別な利益の供与があった場合
- 交換によって資産を譲渡した年と同一年中に、その交換によって取得した資産を保証債務の履行のために譲渡した場合の譲渡所得の計算
- 扶養親族の居住の用に供している相続家屋
- 財産分与に伴う譲渡損失の他の土地譲渡益との通算
- 建設業者が共同で行う民間住宅地造成事業
- 地方公共団体等が行う「宅地の造成」の範囲
- 底地部分と借地権部分の分割申告を認めることの可否
- 3年に1回の適用と租税特別措置法関係通達35-4の取扱い
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。