営業の意義|印紙税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
営業に関しない受取書は非課税と規定されていますが、ここにいう「営業」とはどういうものをいうのでしょうか。
【回答要旨】
一般通念では、利益を得る目的で、同種の行為を継続的、反復的に行うことをいいます。営利目的がある限り、現実に利益を得ることができなかったとしても、また、当初、継続、反復の意思がある限り、1回でやめたとしても営業に該当します。
具体的にどのような行為が営業に該当するかは、商法の規定による商人と商行為から考えられます。
商人には、自己の名をもって商行為をすることを業とする固有の商人と、店舗その他これに類する設備(商人的施設)によって物品の販売を業とする者及び鉱業を営む者を商人とみなす擬制商人とがあります(商法第4条)。
商行為は商法に列挙されていますが、営業とすると否とにかかわらず商行為とする絶対的商行為(商法第501条)と、営業としてしたものは商行為とする営業的商行為(商法第502条)及び商人がその営業のためにする行為を商行為とする附属的商行為(商法第503条)があります。更に、特別法による商行為として、信託の引受け、無尽業等があります。
このことから、これらの行為をなすことを業とするものは商人となり、営利を目的として同種の行為を反復継続する場合は営業に該当することになります。
したがって、商行為に該当しない医師、弁護士等の行為は営業にはならず、また、農業、漁業等の原始生産業者が店舗をもたずにその生産物を販売する場合も商人の概念から除かれますので営業にはなりません。
また、商法第502条ただし書に「専ら賃金を得る目的で物を製造し、又は労務に従事する者の行為は、この限りでない」と規定されていることから、サラリーマン、内職などの行為も営業にはなりません。
法人の場合には、私法人は、大別すると営利法人、公益法人及びそれら以外の法人に分けられます。
営利法人である、会社法の規定による株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は商行為であり(会社法5条)、すべて営業(資本取引に係るものなど特に定めるものは除かれます。)になります。
公益社団法人、公益財団法人、学校法人などの公益法人については、その法人が目的遂行のために必要な資金を得るための行為が商行為に該当する場合であっても営業には該当しません。
営利法人及び公益法人以外の法人については、印紙税法では、その事業の実態等を考慮して、会社以外の法人で、利益金又は剰余金の配当又は分配をすることができることとなっている法人が、出資者以外の第三者に対して行う事業は、営業に含むこととなっています(出資者に対して行う事業は、営業に含みません。)。
また、特定非営利活動促進法により設立が認められた、特定非営利活動法人(いわゆるNPO法人)は、定款の定めにより、利益金又は剰余金の配当又は分配ができないこととされている場合は、営業には該当しません。
【関係法令通達】
印紙税法別表第一第17号文書「非課税物件の欄」、印紙税法基本通達別表第一 第17号文書の第21〜27
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/inshi/19/01.htm
関連する質疑応答事例(印紙税)
- 極度貸付契約証書
- 不動産の範囲
- 取引保証金提供契約書
- 契約期間が3か月を超えるものの判断
- 令第26条第1号に該当する文書の要件
- 手付金、内入金等の受取書
- 会社がその本業以外の行為に関連して作成する受取書
- 継続的取引の基本となる契約書とは
- 貨物受取書
- 未使用の収入印紙についての印紙税過誤納還付
- 仮領収書
- 外国で作成される契約書
- 債務者と保証人の保証委託契約
- 地上権、土地の賃借権、使用貸借権の区分
- 注文番号を記載した注文請書の記載金額
- 一般社団法人等が作成する定款
- 公益社団法人等が作成する受取書
- 見積書とワンライティングで作成する注文書
- 請負と売買の判断基準(1)
- 単価、数量、記号等により記載金額の計算ができる請負契約書
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。