短期滞在者免税の適用を受けていた者の滞在日数が事後的に183日を超えた場合|源泉所得税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
英国法人A社の社員B(英国の居住者)は、前年中に4か月間日本支店で勤務し、日英租税条約第14条第2項に規定する短期滞在者免税に係る租税条約に関する届出書を提出していました。ところで、Bは、本年に再来日し、連続する12か月間における滞在日数の合計が183日を超えることとなりました。
この場合の短期滞在者免税の適用関係はどのようになりますか。
【回答要旨】
短期滞在者免税の適用を受けられないため、前年の滞在分の給与等も含めて源泉徴収の対象となります。
日英租税条約における短期滞在者免税の要件の一つに、「当該課税年度又は賦課年度において開始し、又は終了するいずれの12箇月の期間においても、報酬の受領者が当該他方の締約国内に滞在する期間が合計183日を超えないこと」があります(日英租税条約第14条第2項)。
また、非居住者に対して国内源泉所得の支払が国外において行われる場合であっても、その支払をする者が国内に事務所等を有するときは、その者がその国内源泉所得を国内において支払うものとみなして、源泉徴収をすることとなっています(所得税法第212条第2項)。
したがって、照会の場合には、前年8月1日からの12か月間において、滞在日数が183日を超えるため、前年中の滞在期間に係る給与等についても短期滞在者免税の適用を受けられないことになり、前年の滞在分の給与等も含めて源泉徴収の対象となります。
【関係法令通達】
所得税法第212条第2項、日英租税条約第14条第2項
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/06/61.htm
関連する質疑応答事例(源泉所得税)
- 非居住者であった期間内の社会保険料、生命保険料
- カフェテリアプランによる旅行費用等の補助を受けた場合
- 専修学校等の就学生に対する免税条項の適用の是非
- ホステスの衣裳代負担による経済的利益
- 日米租税条約の親子会社要件における「配当の支払を受ける者が特定される日」の意義
- 住宅の値引販売による経済的利益
- 青色事業専従者である妻
- 米国の大学教授に支払う講演料
- 背広の支給による経済的利益
- 日米租税条約第20条に規定する交換教授免税における「一時的に滞在する個人」の範囲
- 契約改訂により2年を超えることとなった場合の交換教授免税(日米租税条約)
- 国外で留守家族に支払われる給与
- 米国法人に支払うコンテナーの使用料
- 退職金を分割支給した場合の源泉徴収税額の計算
- 単身赴任者が会議等に併せて帰宅する場合に支給される旅費
- 納税準備預金から源泉徴収超過額還付金を引き出すことは、納税目的の引出しに当たるか
- 給与の支給期日に死亡した者に対する課税
- 金融機関の貸出債権に係るローン・パーティシペーションの取扱い
- 組織変更に伴い株式以外の資産の交付を受けた場合
- 成績優秀者を対象として行う海外旅行に係る経済的利益
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。