被相続人が宗教法人の敷地に接する市道の改修工事に係る費用を負担したことは、宗教法人に対する寄付に当たり、市に対する寄付に当たらないとして寄付金控除の適用を認めなかった事例
裁決事例(国税不服審判所)
2008/03/25 [所得税法][所得控除] 請求人は、市職員の指導誤りにより本件承認申請の名義が宗教法人D寺になったこと、本件決定に係る通知書には、本件工事で設置された工作物等が市に帰属する旨明記されていること、本来、工事費用はP市が負担すべきであること等から、特定寄付金に該当するのは明らかである旨主張する。
しかしながら、道路法第24条は、私人などが自らの必要に基づいて道路に関する工事又は維持を行う必要が生じた場合、道路管理上支障がなければそれを許可することができるようにするために設けられた規定であり、このように道路管理者の積極的な意思に基づかず、第三者が自己の利便のために行う工事等であるから、道路法第57条は、承認を受ける第三者にその費用負担を義務付けたものである。
そして、本件決定の承認条件として、道路敷に設けた工作物及び施設が、工事完了検査後市に帰属する旨定められた理由について、P市の担当課長は、「本件工事後の工作物等は道路の従物であり、工事費用を負担した者の所有のままにしておくと、その後の道路管理に支障を来たすため市に帰属させる必要があることから、『市に帰属する』という条件を付したもので、市が寄付を受けるとの意味ではない。」旨回答しており、工作物等をP市に帰属させることで、道路管理に支障が生じないように、D寺に義務として課したものであるということができる。
したがって、本件工事の費用負担、本件工事により設けられた工作物及び施設をP市に帰属させることのいずれもが、本件決定で承認を受けた者に課せられた義務であるから、それを履行したことが、国等に対する寄付に該当するとはいえない。このことは、仮に被相続人が本件承認申請をしたとしても同様である。
平成20年3月25日裁決
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