請求人が開業費として計上した平成10年1月〜5月の地代家賃等は、平成10年1月の開業後に支出したものであるから、平成15年分の事業所得の計算上当該開業費の償却費を必要経費に算入することはできないとした事例
[所得税法][必要経費][事業所得]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2007/02/20 [所得税法][必要経費][事業所得] 請求人は、平成9年中に行った各種の届出等は形骸的なものであって、請求人の真の開業時期は平成10年6月ころであるから、本件費用は開業費であり、開業費の償却費として平成15年分の事業所得の計算上必要経費に算入されるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人は、平成9年末に、本件クリニックの賃貸借契約、医療機器のリース契約等の名義を請求人に変更し、平成10年1月以降、本件クリニックの看板を付け替えた上で、本件クリニックに係る社会保険診療報酬及び自由診療収入を請求人名義の預金口座に入金させるなどするとともに、平成10年分の所得税について平成10年1月診療分以後の収入及び支出を確定申告していることからすれば、遅くとも平成10年1月には、請求人自身の計算と危険において独立して、本件クリニックに係る事業を実質的に開始したものと認められる。
そうすると、本件費用は、いずれも本件クリニックに係る事業を開始した後に発生した費用であるから、所得税法施行令第7条第1項に規定する「事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用」である開業費には該当せず、また、本件費用の内訳は、地代家賃、修繕費及び消耗品費であり、その支出の効果が翌年以降に及ぶものであるとは認められず、所得税法施行令第7条第1項に規定する開業費以外の繰延資産にも該当しない。
平成19年2月20日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人が開業費として計上した平成10年1月〜5月の地代家賃等は、平成10年1月の開業後に支出したものであるから、平成15年分の事業所得の計算上当該開業費の償却費を必要経費に算入することはできないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>必要経費>事業所得)
- 請求人が債権譲渡により生じたとする貸倒損失は認められず、また、修正申告書を作成するに当たって支払ったとする決算事務手数料は、必要経費に算入されないとした事例
- 被相続人に係る事業所得の金額の計算上の必要経費には、死亡時までの従業員退職金相当額は算入できないとした事例
- 1. 請求人が架空の必要経費を計上し、多額の所得金額を脱漏したばかりか、調査担当職員に帳簿書類の保存がない等の虚偽の答弁をしたことは、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺい又は仮装」に当たるとされた事例2. 更正処分により賦課される事業税の額を見込額で必要経費に算入すべきとの請求人の主張が排斥された事例3. 請求人が会計データを保存していたフロッピーディスクに不具合が生じ、出力不可能となったこと等を理由に帳簿書類等を提示しなかったことは、青色申告承認取消事由に当たるとされた事例
- 事業の用に供していた資産の譲渡損について一部認容した事例
- 青色事業専従者給与の金額については、その労務の性質及び提供の程度は他の使用人と比べて大きく異なるものではないことから、労務の対価として相当ではないとした事例
- 個人事業主の死亡は当然に雇用契約の終了事由、事業廃止原因であるから、従業員に支給する退職金の必要経費算入を認めるべきであるとの請求人の主張が排斥された事例
- 請求人の妻である医師は、請求人の事業に専ら従事していないとして、妻に対して支払った青色事業専従者給与の額は必要経費に算入されないとした事例
- 給与所得者の特定支出の控除の特例を適用することはできないとした事例
- 不動産の賃貸料収入が多額であったとしても、その賃貸は事業的規模に当たらないとされた事例
- 青色事業専従者給与の必要経費算入を否認した原処分は相当であるとした事例
- 請求人が有する破産会社に対する売掛債権の貸倒損失の計上時期は、配当可能な財産がなくその全額が客観的に回収不能となったと認められる破産手続終結の決定がなされた時点であるとした事例
- 医師が医院建築資金を銀行から借り入れる際に締結した生命保険契約に係る支払保険料は、家事上の経費に該当し、事業所得の金額の計算上必要経費とはならないとした事例
- 同居している請求人の妻の父母が独立した生計を営んでいるとはいえないから、同父母に支払った給料及び地代は必要経費に算入することはできないとした事例
- 請求人の父が代表取締役を務める同族会社に対し業務委託費として支払った金員は、提供される役務の価値を超えて支払われたものとは評価できないとした事例(平成19年分〜平成22年分の所得税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分・一部取消し・平成25年11月27日裁決)
- 税理士が関与先に貸し付けた貸付金の貸倒れによる損失の金額は、税理士業務に係る事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできないとした事例
- 事業を営む請求人が主宰する法人に対する貸付金(無利子)の資金を借入金でまかなっている場合の借入金利子は、必要経費に該当しないとした事例
- 非常勤医師である従兄弟に支給した報酬のうち、他の非常勤医師に支給していた日給相当額を超える部分は過大であり、また、親族及び親族の家政婦に支給した給与等の額は、請求人の業務に従事した事実が認められないから、いずれも必要経費の額に算入できないとした事例
- 請求人の青色申告の特典控除前の所得金額に、同業者の青色申告の特典控除前の所得金額に占める妻の青色事業専従者給与の額の割合の平均値を乗じて算定した金額を必要経費に算入できる額としたことは、合理的な認定方法であるとした事例
- 歯科医師が実施した歯科技工に関する研修及び研究開発等に関係会社の歯科技工士等が参加協力したことに対して支出した金品は当該歯科医師の事業所得の金額の計算上必要経費に該当するとした事例
- 給与所得者の特定支出(受講する研修)について、その活動の実態は、現地において教授陣と討論会を行ったり、国際会議に出席するなど、専ら、自らの調査研究のためと認められるところから、特定支出には該当しないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。