ビル内貸店舗の賃貸借に当たり収受される保証金のうち、賃貸借期間満了時に返還を要しない、いわゆる保証金償却額は、賃貸借契約の締結時の収益であるとした事例
[法人税法][所得金額の計算][収益の帰属事業年度]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1988/09/12 [法人税法][所得金額の計算][収益の帰属事業年度]裁決事例集 No.38 - 147頁
ビル内貸店舗の賃貸借に当たり収受される保証金のうち、賃貸借期間満了時に返還を要しない、いわゆる保証金償却額については、本件各賃貸借契約によれば、請求人が各賃借人にこれを返還すべき事由は一切生じないから、その経済的実質は権利金であり、本件賃貸借契約が締結された時にその返還を要しないことが確定したものと認められる。したがって、本件保証金償却額の収益計上時期は、その返還を要しないことが確定した本件各賃貸借契約が締結された本件各事業年度となる。
また、契約期間満了前に本件保証金償却額を権利金として認定した場合には、本件保証金が譲渡性を有する財産権(借家権)の性格を持つことになるから、各賃借人がそのような譲渡を自由にできなくするために、契約期間満了の日まで本件保証金を預かっている旨請求人は主張するが、借家権の譲渡性は、その権利を設定するに当たって権利金を支払うことにより当然に付与されるものではなく、賃借人が借家権の転貸又は譲渡をする場合には、権利金の支払とは別に賃貸人の承諾を要するものと解される。そうすると、本件保証金償却額を権利金と認定しても、借家権に譲渡性が付与されることにはならないと解すべきである。
平成元年9月12日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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