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弁護士業の廃業に際し共同経営者から支払を受けた金員は、営業権の譲渡によるものではなく、清算金と認められるから事業所得に当たるとした事例

[所得税法][所得の種類][事業所得]に関する裁決事例(国税不服審判所)。

裁決事例(国税不服審判所)

2006/08/30 [所得税法][所得の種類][事業所得]

裁決事例集 No.72 - 155頁

 請求人らは、F総合法律事務所は、会社法務に関する業務に対する高い評価と信頼は独占性をもった経営手腕、ノウハウとなっていること、長年にわたる人間関係の繋がりと業務遂行に対する高い評価により顧問先との強い信頼関係が構築され、請求人らの夫ないし父であるF弁護士が弁護士会等の要職を歴任し社会的信用及び知名度が高められてきたこと、さらに、F総合法律事務所の後継者であるG弁護士がFという名称を継続使用していることはF弁護士が蓄積した社会的信用等を継続使用する経済的・社会的価値を認めている証左であることから、これら経営手腕、ノウハウ並びにFという看板の信用度及び知名度こそが営業権に該当し、F弁護士が廃業に際しG弁護士から受領した金員(以下「本件金員」という。)は、営業権の譲渡の対価に当たる旨主張する。
 ところで、営業権譲渡における営業とは、一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産をいうが、営業上のノウハウや暖簾、得意先関係等のいわゆる財産的価値のある事実関係は、常に譲渡の対象となる営業権となるものではなく、それが個々の主観的要素を離れて営業組織に客観的に結実した形で表象された場合にはじめて営業譲渡の対象となる。
 そして、弁護士の業務は、個々の弁護士の経験、知識、法律的技能、また、依頼者との間の個々の信頼関係を基礎として成り立っているものであり、一身専属性の高いものであるから、このように、一身専属性の認められる弁護士業において、弁護士のノウハウ、依頼者との信頼関係等は、当該弁護士個人に帰属するものであり、当該弁護士を離れて営業組織に客観的に結実することにはなじまないものである。
 本件においても、F弁護士の社会的信用やノウハウ等は、F弁護士個人に帰属するものであり、F総合法律事務所という組織として客観的に結実したものとは認められないから、営業権は存在しないと解するのが相当であり、この理は当事者の主観によって左右されるものではない。
 したがって、本件金員は、営業権譲渡の対価であるとは認められない。
 そして、本件金員のうち、賃借権の継承及び備品の引継ぎに係る部分以外の部分は、業務等の引継ぎの経緯等からすれば、F弁護士がG弁護士と共同経営していたF総合法律事務所の経営から離脱するに当たり、顧問先との契約のうちF弁護士の持分の清算金の趣旨であるものと認められるから、事業所得となる。

国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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