不納付加算税賦課決定処分取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成18年(行ウ)第48号)|平成20(行コ)60
[所得税法][源泉徴収][国税通則法][不納付加算税]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成20年10月15日 [所得税法][源泉徴収][国税通則法][不納付加算税]判示事項
1 管財人報酬は,所得税法204条1項2号にいう弁護士の業務に関する報酬又は料金に当たる2 破産者の破産管財人が,当該破産管財人個人に対してした破産管財人の報酬の支払と源泉徴収義務
3 破産者の破産管財人が当該破産管財人個人に対して破産管財人の報酬を支払ったことについて,当該破産者に対してされた源泉徴収による所得税に係る不納付加算税賦課決定処分が,国税通則法67条1項ただし書にいう「正当な理由」があるとはいえないとして,適法とされた事例
裁判要旨
1 所得税法204条1項2号の趣旨に加え,その文言に照らしても,同号にいう弁護士の業務を弁護士法3条1項に規定する訴訟事件等に関する行為その他一般の法律事務を行うことに限定して解すべき理由はなく,弁護士法が弁護士の使命及び職責にかんがみ,弁護士が破産管財人の地位に就きその業務を行うことを予定していることをも併せかんがみれば,弁護士が破産管財人として行う業務は,所得税法204条2号にいう弁護士の業務に該当するものであり,同号の「報酬」が,委任契約又はそれに類する法律関係に基づくものに限られると解すべき理由もないから,破産管財人の受ける報酬は,同号にいう弁護士の業務に関する報酬又は料金に当たる。2 破産者は,財団債権に対する弁済について,所得税法の規定に従い当該弁済に係る所得税を徴収し納付する義務を負い,その徴収及び納付は破産管財人の管理処分権に属するというべきであるところ,破産管財人の報酬は,旧破産法(大正11年法律第71号,平成16年法律第75号により廃止)47条3号所定の財団債権に該当するものとして破産財団から弁済を受けるものとされているから,当該破産者は,当該報酬について,所得税法204条1項2号に掲げる報酬の支払をする者に当たり源泉所得税の徴収及び納付義務を負うのであって,当該破産者の破産管財人は,旧破産法7条の管理処分権に基づき,本来の管理業務として当該報酬の支払をするのであるから,これに付随する職務上の義務として国に対して当該報酬に係る所得税の源泉徴収義務を負う。
3 破産者の破産管財人が当該破産管財人個人に対して破産管財人の報酬を支払ったことについて,当該破産者に対してされた源泉徴収による所得税に係る不納付加算税賦課決定処分につき,破産管財人は,前記報酬に係る所得税について源泉所得税を徴収し,納付する義務を負うところ,次の(1)ないし(3)のような事情の下においては,前記破産管財人が前記報酬に係る源泉所得税を法定納期限までに納付しなかったことについて,真に同人の責めに帰することのできない客観的な事情があり,当初から適正に徴収及び納付をした納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに,源泉所得税の不納付による納税義務違反の発生を防止し,適正な徴収納付の実現を図り,もって納税の実を挙げるという不納付加算税の趣旨に照らしてもなお前記破産者に不納付加算税を賦課することが不当又は酷になるとまでいうことはできないから,国税通則法67条1項ただし書にいう「正当な理由」があるということはできないとして,前記処分を適法とした事例
(1) これまでに管財人報酬は源泉徴収の対象ではないという趣旨の通達が発出され,そのような課税実務が定着し,又は国税庁職員が関与した文献等でそのような見解が示された等,課税当局が管財人報酬にかかる源泉徴収義務を否定していると信ずるに足りる積極的根拠があったとは認められず,文献上も定説はなく,裁判所の担当部の見解も確定的ではなかったこと
(2) 管財人報酬は破産法上も「報酬」であるから所得税法204条1項2号の「報酬」に当たると解する方が文言上自然であること
(3) 管財人報酬は財団債権であるところ,同様に財団債権である破産管財人が補助者を雇用した場合の賃金について破産管財人に源泉徴収義務があることには異論がないこと
- 裁判所名
- 大阪高等裁判所
- 事件番号
- 平成20(行コ)60
- 事件名
- 不納付加算税賦課決定処分取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成18年(行ウ)第48号)
- 裁判年月日
- 平成20年10月15日
- 分野
- 行政
- 全文
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- 裁判所:行政事件裁判例
- 不納付加算税賦課決定処分取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成18年(行ウ)第48号)|平成20(行コ)60
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