第二次納税義務告知処分取消等請求控訴事件(原審:金沢地方裁判所平成15年(行ウ)第7号,平成16年(ワ)第452号)|平成17(行コ)10
[相続税法][国税通則法][国税徴収法][第二次納税義務][差押え]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成18年8月30日 [相続税法][国税通則法][国税徴収法][第二次納税義務][差押え]判示事項
1 国税徴収法39条による第二次納税義務制度と国税通則法42条により準用される民法424条による詐害行為取消制度との関係2 国税徴収法39条にいう「滞納者の国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合」の意義
3 相続税法34条1項に基づく連帯納付義務を負担するものとされた者から財産の贈与を受けた者に対し,国税徴収法39条に基づく第二次納税義務を負うとしてされた納付通知書による告知処分及び納付催告書による督促処分の取消請求が,前記各処分に違法はないとして棄却された事例
裁判要旨
1 国税徴収法39条による第二次納税義務制度は,詐害行為の取消しという訴訟手続に代えて,簡易迅速に租税徴収の確保を図るために設けられたものである点で,詐害行為取消制度に類似する性質がないとはいえないが,同条による第二次納税義務制度は,民法424条を準用する国税通則法42条とは別に,明文の規定をもって定められたものであるから,その明文の規定する成立要件を満たすにもかかわらず,これを更に詐害行為又はこれに準ずる場合に限定して適用しなければならないとする理由はない。2 国税徴収法39条にいう「滞納者の国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合」とは,第二次納税義務を負わせるかどうかを判定する時(納付通知書を発する時)の現況において,差押えができる滞納者の財産の見積価額の総額が徴収しようとする国税の額に明らかに不足すると認められる場合をいい,滞納者の財産に滞納処分を執行することを要しない。
3 相続税法34条1項に基づく連帯納付義務を負担するものとされた者から財産の贈与を受けた者に対し,国税徴収法39条に基づく第二次納税義務を負うとしてされた納付通知書による告知処分及び納付催告書による督促処分が,前記贈与は詐害行為又はこれに準ずるものではなく,また,滞納者の財産を差し押さえることなく前記差押えがされた点で違法であるとしてされた前記各処分の取消請求につき,前記贈与の際の詐害の意思は前記各処分をするに当たって要件とならず,また,第二納税義務を負わせるかどうかを判定する時(納付通知書を発する時)の現況において,滞納者の財産の価額が徴収しようとする国税の額に不足することが明らかであるから,滞納者の財産に滞納処分を執行すること要せず,前記各処分に違法はないとして,前記各請求をいずれも棄却した事例
- 裁判所名
- 名古屋高等裁判所 金沢支部
- 事件番号
- 平成17(行コ)10
- 事件名
- 第二次納税義務告知処分取消等請求控訴事件(原審:金沢地方裁判所平成15年(行ウ)第7号,平成16年(ワ)第452号)
- 裁判年月日
- 平成18年8月30日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 第二次納税義務告知処分取消等請求控訴事件(原審:金沢地方裁判所平成15年(行ウ)第7号,平成16年(ワ)第452号)|平成17(行コ)10
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