滞納会社の所有する土地持分の上に請求人が建物を新築するに当たり、借地権の無償設定によって国税徴収法第39条にいう利益を受けたものと認定した事例
[国税徴収法][第二次納税義務][無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1990/07/31 [国税徴収法][第二次納税義務][無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務]裁決事例集 No.40 - 247頁
滞納会社の所有する本件土地持分を請求人が利用する場合の法律関係について、請求人は、使用貸借であって借地権の無償設定ではない旨主張するが、滞納会社の所有する本件土地持分の利用関係が無償のものであるからといって、直ちにこれを単なる使用貸借と即断することは相当ではなく、右土地持分の利用関係は、請求人らによる本件建物の新築によって開始されたもので少なくとも本件建物を長期間にわたって使用することが予定されたものであり、また、本件土地の共有者である滞納会社の代表取締役は、請求人の夫の父であり、同社の発行済株式の80パーセントに相当する株式は当該代表取締役の親族によって所有されていることからみて、滞納会社が請求人らに対して滞納会社の所有する本件土地持分の返還を求めるようなことは実際上ほとんど考えられないから、請求人らの、滞納会社の所有する本件土地持分の利用関係は、事実上、権利性のかなり強いものであって、税法上はこれを借地権と評価するのが相当である。
したがって、請求人らの本件建物の新築に際し、滞納会社の所有する本件土地持分につき無償で借地権が設定された事実が認められるので、請求人は、借地権の無償設定により、国税徴収法第39条にいう利益を受けたものというべきである。
平成2年7月31日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 滞納会社の所有する土地持分の上に請求人が建物を新築するに当たり、借地権の無償設定によって国税徴収法第39条にいう利益を受けたものと認定した事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(国税徴収法>第二次納税義務>無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務)
- 不動産の売買契約の不履行により保証金を没収したことが国税徴収法第39条の無償譲渡に該当しないとした事例
- 請求人と滞納会社が共同して売却した本件不動産(土地は各別に所有、建物は共有)の売却代金について、不動産の持分に応じて配分を受けるのが相当であるから、請求人は受けた利益を限度として滞納国税につき第二次納税義務を負うとした事例
- 妻名義で購入した不動産は、自己資金により購入した固有財産であると認定することにより無償譲渡に該当しないとした事例
- 請求人が納税者から不動産を譲り受けたことが、国税徴収法第39条に規定する「著しく低い額の対価による譲渡」に当たらないとした事例
- 請求人が滞納法人から、不動産売買に係る仲介手数料に相当する債務の免除を受けたとは認められないとした事例
- 遺産分割協議により自己の相続分を超える不動産の持分を取得したことが国税徴収法第39条の第二次納税義務の規定に該当するとした事例
- 滞納会社が売上除外金から取締役に支出した金員は、社員総会において承認の決議を受けた損益計算書には計上されていないことから、職務執行の対価としての役員報酬には当たらず、国税徴収法第39条に規定する無償譲渡に当たるとした事例
- 連帯納付義務者Lから不動産の贈与を受けた者に対して行われた国税徴収法第39条の規定に基づく第二次納税義務の告知処分が適法であるとした事例
- 滞納者が行った集合住宅の売却について、国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等に該当するとした事例
- 貸金業を営む請求人の貸金債権についての保証業務を行っていた滞納法人が業務を廃止したことに伴い、請求人が滞納法人から収受したといえる業務廃止日現在の累計保証料相当額から貸倒額を控除した部分は、国税徴収法第39条の無償譲渡等の処分によるものであるとした事例
- 国税徴収法第38条の第二次納税義務の告知処分に至る手続に違法があり、また、納付相談の要請を了解したにもかかわらず、この了解事項を一方的に破棄して告知処分を行ったことは、信義則に反するとの請求人の主張が排斥された事例
- 国税徴収法第39条の規定による第二次納税義務を負う受贈者が相続時精算課税制度を選択したことによって財産の贈与を受けた後に納付すべきこととなる相続税は、同条の受けた利益の額を算定するに当たって受益財産の価額から控除することはできないとした事例
- 新株発行による増資は差押処分の処分禁止効には抵触しないとして、増資後の株式総数を基に第二次納税義務の限度額を算定するとした事例(第二次納税義務の納付告知処分・一部取消し・平成25年12月9日裁決)
- 会社法第757条の規定に基づく吸収分割によって滞納法人の事業を承継した請求人は国税徴収法第38条の規定による第二次納税義務を負うとした事例
- 滞納者の預金口座から出金された金銭が請求人の預金口座に入金されたことは、国税徴収法第39条の無償譲渡には該当しないとした事例(第二次納税義務の納付告知処分・全部取消し・平成26年1月7日裁決)
- 離婚に伴う財産分与が不相当に過大であるとして国税徴収法第39条に規定する「無償又は著しく低い額の対価による譲渡」があったとした事例
- 滞納者を契約者兼被保険者とし、保険金受取人を請求人とする生命保険契約に基づいて死亡保険金を受領した請求人は、国税徴収法第39条の規定により、滞納者が払込みをした保険料相当額の第二次納税義務を負うとした事例
- 「滞納者の国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合」に該当しないとする請求人の主張を排斥した事例
- 滞納会社の家賃収入計上漏れ等により生じた簿外の金員を取得した代表者に対する第二次納税義務の告知処分は相当であるとした事例
- 財団法人に対する寄附は、国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等に当たるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。