破産手続が異時廃止により終了したとしても、それによって破産法人の法人格は消滅せず、清算の目的の範囲内で、その法人格は存続しているとした事例
[国税徴収法][第二次納税義務]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2013/05/21 [国税徴収法][第二次納税義務]《ポイント》 本事例は、破産手続が異時廃止により終了したとしても、清算の目的の範囲内でその法人格は存続するから、破産手続廃止決定を受けた滞納法人を主たる納税義務者とする滞納国税の納税義務は存続しているとしたものである。
《要旨》 請求人は、滞納法人は費用不足で破産手続廃止となったことにより、その法人格が消滅し、その納税義務も消滅したから、請求人に対する第二次納税義務の納付告知処分、不動産の差押処分及び債権の差押処分は取り消されるべきである旨主張する。
しかしながら、滞納法人の破産手続は、破産法第220条《破産手続終結の決定》第1項が規定する配当等による終結ではなく、同法第217条《破産手続開始の決定後の破産手続廃止の決定》第1項が規定する異時廃止によって終了していることから、会社法第475条《清算の開始原因》に規定する清算が行われた場合と同じであるということはできず、そうすると、破産手続開始の決定による解散の効果として、同条第1号の規定により清算しなければならず、同法第476条《清算株式会社の能力》の規定により、清算の目的の範囲内で滞納法人の法人格は存続していることから、請求人の主張はその前提を欠くものであって採用できない。
《参照条文等》 会社法第471条、第475条、第476条 破産法第35条、第217条、第220条
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 破産手続が異時廃止により終了したとしても、それによって破産法人の法人格は消滅せず、清算の目的の範囲内で、その法人格は存続しているとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(国税徴収法>第二次納税義務)
- 請求人が納税者から不動産を譲り受けたことが、国税徴収法第39条に規定する「著しく低い額の対価による譲渡」に当たらないとした事例
- 滞納者を契約者兼被保険者とし、保険金受取人を請求人とする生命保険契約に基づいて死亡保険金を受領した請求人は、国税徴収法第39条の規定により、滞納者が払込みをした保険料相当額の第二次納税義務を負うとした事例
- 請求人が賃借人から敷金の返還義務を免除されたことが、国税徴収法第39条の無償譲渡等の処分に当たらないとした事例
- 「滞納者の国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合」に該当しないとする請求人の主張を排斥した事例
- 滞納者が行った集合住宅の売却について、国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等に該当するとした事例
- 財団法人に対する寄附は、国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等に当たるとした事例
- 破産手続が異時廃止により終了したとしても、それによって破産法人の法人格は消滅せず、清算の目的の範囲内で、その法人格は存続しているとした事例
- 離婚に伴う財産分与が不相当に過大であるとして国税徴収法第39条に規定する「無償又は著しく低い額の対価による譲渡」があったとした事例
- 第二次納税義務の納付告知処分の「受けた利益の限度」の額は、譲り受けた財産等の価額から無償譲渡等の処分と直接対価性のある支出又は負担を控除した残額であることを明らかにした事例(第二次納税義務の納付告知処分・棄却・平成26年9月9日裁決)
- 請求人が受領した滞納会社の売掛金のうち、滞納会社の従業員に対する給与に充てられた部分以外の部分は、国税徴収法第39条の無償譲渡等の処分によるものであるとした事例
- 請求人と滞納会社が共同して売却した本件不動産(土地は各別に所有、建物は共有)の売却代金について、不動産の持分に応じて配分を受けるのが相当であるから、請求人は受けた利益を限度として滞納国税につき第二次納税義務を負うとした事例
- 同族会社の判定の基礎となった株主が、その同族会社の滞納国税の内容及び発生過程を知らされていなくとも、国税徴収法第37条に規定する第二次納税義務は成立するとした事例
- 法人税法上役員賞与としたものを無償譲渡と認めて第二次納税義務を課しても矛盾がないとした事例
- 新株発行による増資は差押処分の処分禁止効には抵触しないとして、増資後の株式総数を基に第二次納税義務の限度額を算定するとした事例(第二次納税義務の納付告知処分・一部取消し・平成25年12月9日裁決)
- 国税徴収法第39条が規定する「受けた利益」が取引相場のない株式である場合において、同条の第二次納税義務の限度額の算定に当たり、原処分庁がディスカウント・キャッシュ・フロー法と時価純資産法を併用して当該株式を評価したことに不合理な点は認められないとした事例(第二次納税義務の納付告知処分・一部取消し・平成27年10月28日裁決)
- 国税徴収法第39条の規定による第二次納税義務を負う受贈者が相続時精算課税制度を選択したことによって財産の贈与を受けた後に納付すべきこととなる相続税は、同条の受けた利益の額を算定するに当たって受益財産の価額から控除することはできないとした事例
- 相続税法第34条の連帯納付義務者から金銭の贈与を受けた者に対する国税徴収法第39条の第二次納税義務の告知処分が適法であるとした事例
- 連帯納付義務者Lから不動産の贈与を受けた者に対して行われた国税徴収法第39条の規定に基づく第二次納税義務の告知処分が適法であるとした事例
- 主たる納税義務が存続する限り、第二次納税義務がこれと別個に独立して時効により消滅することはないとした事例
- 担保権付不動産の贈与を受けた場合における国税徴収法第39条の第二次納税義務の限度額の算定に当たり、当該担保権の存在を減額要因として認めなかった事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。