租税特別措置法第41条第1項及び租税特別措置法施行令第26条第2項に規定する建築の意義には増改築も含まれると解すべきであるから住宅借入金等特別控除の適用要件に該当するとの請求人の主張を排斥した事例
裁決事例(国税不服審判所)
2001/12/21 [租税特別措置法][所得税法の特例][譲渡所得の特例][特定の事業用資産の買換えの場合等の課税の特例] 請求人は、建築基準法における建築には増改築が含まれるから、租税特別措置法(以下「措置法」第41条第1項及び租税特別措置法施行令(以下「措置法施行令」第26条第2項(以下、両規定を併せて「本件措置法規定等」という。)に規定する建築にも増改築が含まれると解すべきである旨主張する。
しかしながら、本件措置法規定等に規定する建築には、下記のとおり、増改築は含まれず、建築基準法における建築の意義とは別意に解するのが相当であり、請求人の主張は採用できない。
(1)措置法第41条第1項は、居住者が、[1]居住用家屋の新築、[2]居住用家屋で建築後使用されたことのないものの取得、[3]居住用家屋で建築後使用されたことのある家屋で政令で定めるものの取得、[4]その者の居住の用に供している家屋で政令で定めるものの増改築等をし、これらの家屋をその者の居住の用に供した場合において、一定の要件の下に、住宅借入金等特別控除の適用をする旨規定している。
(2)上記(1)の[3]の政令で定めるものは、措置法施行令第26条第2項第3号の規定によれば、当該家屋が耐火建築物である場合には、その取得の日以前25年以内に建築されたものであるとされている。
(3)上記(1)の[4]の「増改築等」とは、措置法第41条第4項において、当該居住者が所有している家屋につき行う増築、改築その他の政令で定める工事で当該工事に要した費用の額が百万円を超えるものであることその他の政令で定める要件を満たすものである旨規定している。
(4)措置法第41条第1項の規定から判断すると、上記(1)の[1]は、居住者自らが建築主となって新築した建物について規定し、[2]及び[3]は、居住者以外の者が建築した建物で居住者が承継取得したものについてそれぞれ規定したものであって、建物の建築後、居住の用に供されたことのない建物は[2]に、居住の用に供されたことのある建物は[3]に該当し、また、現に居住している者がその建物に増改築等をした場合が[4]に該当することになる。
(5)また、住宅借入金等特別控除は、住宅政策の一環として、個人の持家取得の促進及び居住水準の向上を図ることなどを目的として設けられた制度であり、上記(1)の[3]の既存住宅の取得については、その良質性を確保する趣旨から、上記(2)のとおり、建築後の経過年数に一定の制限が加えられている。
(6)ところで、建築基準法第1条《目的》は、同法は国民の生命、健康及び財産の保護を図るため、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関して守られるべき最低の基準を定めた法律である旨規定しており、その趣旨目的は、上記(4)の住宅借入金等特別控除のそれとは異にしているから、本件措置法規定等の適用については必ずしも建築基準法における用語の意義をそのまま引用しなければならないものではない。
(7)上記(2)から(6)までに述べたことから判断すると、本件措置法規定等に規定する建築には増改築は含まれないと解するのが相当である。
平成13年12月21日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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