所得税更正処分取消請求控訴事件|平成4(行コ)18
[所得税法][譲渡所得][租税特別措置法]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成8年1月31日 [所得税法][譲渡所得][租税特別措置法]判示事項
1 土地所有者が不動産貸付けの事業として当該土地を第三者に賃貸した場合における租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前)37条所定の事業用資産の範囲 2 譲渡資産及び買換資産のそれぞれの中に事業用資産とそうでないものとがある場合における租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前)37条の適用を受ける範囲 3 譲渡資産中にいずれも事業用資産である短期保有資産と長期保有資産がある場合の租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前)37条の規定の適用における前記各資産に対応する買換資産の取得価額の計算方法 4 所得税法38条1項の規定にいう「資産の取得に要した金額」として譲渡所得の計算上控除される取得費の範囲 5 所得税更正処分等につき,長期譲渡所得の計算に当たってした事業の用に供している資産(租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前)37条1項)の範囲の認定等に誤りはないとして,当該処分等が適法とされた事例裁判要旨
1 土地所有者が不動産貸付けの事業として当該土地を第三者に賃貸したことにより当該第三者が当該土地につき借地権を取得した場合であっても,当該土地全体が租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前)37条所定の事業用資産であるというべきである。 2 租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前)37条の規定が適用されるためには譲渡資産及び買換資産がいずれも事業用資産であることを要し,譲渡した資産及びこれに代えて取得した資産のそれぞれのうちに事業の用に供していたものとそうでないものがある場合には,それぞれ事業の用に供していたもののみが同条にいう譲渡資産及び買換資産として同条の適用を受けることができると解するのが相当である。 3 譲渡資産中にいずれも事業用資産である短期保有資産と長期保有資産とがある場合においては,租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前)37条の適用上,事業用資産である買換資産の取得価額を,譲渡した短期保有及び長期保有の各事業用資産の譲渡時の価額の比により案分して当該各譲渡資産に対応する買換資産の取得価額を計算するのが相当である。 4 所得税法38条1項の規定にいう「資産の取得に要した金額」として譲渡による収入金額から控除されるのは,資産の取得に関連して支出した費用のうち一般的に取得時における当該資産の客観的価値を構成する費用に限られると解するのが相当である。 5 所得税更正処分等につき,土地所有者が不動産貸付けの事業として当該土地を第三者に賃貸したことにより当該第三者が当該土地につき借地権を取得した場合であっても,当該土地全体が租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前)37条所定の事業用資産であるとして,これを前提に長期譲渡所得を計算してした当該処分等が適法とされた事例- 裁判所名
- 名古屋高等裁判所
- 事件番号
- 平成4(行コ)18
- 事件名
- 所得税更正処分取消請求控訴事件
- 裁判年月日
- 平成8年1月31日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 所得税更正処分取消請求控訴事件|平成4(行コ)18
関連するカテゴリー
関連する裁決事例(所得税法>譲渡所得>租税特別措置法)
- 事業用資産の買換えの適用の撤回をしても割増償却の特例計算の規定の適用は認められないとした事例
- 旅行業を営む請求人がその主催旅行のバス乗務員に支払った心付けは、旅行者からの預り金の支払いでなく、交際費等に当たるとした事例
- 譲渡土地は、昭和63年9月1日から譲渡(平成2年4月24日)するまで事業の用に供していないので、特定の事業用資産の買換特例が適用できないとして請求人の主張を排斥した事例
- 住宅借入金等特別控除の対象となる家屋に該当するか否か(床面積基準)の判定に当たり、同一人の所有に属する一棟の建物は、区分所有建物として表示登記又は保存登記がなされていない限り、一個の建物であると解するのが相当であるとした事例
- 仮住居補償金及び移転補償金を対価補償金と認めず、また、収益補償金と同様な取扱いをすることはできないとした事例
- 居住用及び貸間用に併用されている家屋の敷地のうち観賞用の庭園等として利用されている部分を居住専用部分と認定した事例
- 本件譲渡家屋における電気・ガス・水道の使用状況等から判断すると、本件譲渡家屋に居住したとしても一時的な目的で入居したものと認められるので、居住用財産の課税の特例の適用はできないとした事例
- 請求人には生活の本拠とする居宅があるところ、譲渡したマンションへの居住目的は譲渡するまでの間の一時的なものとみるのが相当であり、譲渡所得について租税特別措置法第35条の規定による特別控除はできないとした事例
- いわゆる超過物納に係る還付金相当額について譲渡所得の金額を計算する場合において、その物納許可に基づく物納財産の収納が相続税の法定申告期限から2年経過後であっても、本件譲渡が本件特例の適用期間を経過した後にされたものである以上、租税特別措置法第39条第1項の適用はないとされた事例
- 家屋の建築確認を受けた後に取得した当該家屋の敷地と地続きの土地につき、租税特別措置法第36条の2第1項に規定する買換資産に該当するとした事例
- 法人税法施行令第137条は「土地の使用の対価として相当の地代を収受しているときは、当該土地の使用に係る取引については正常な取引条件でなされたもの」と規定しているが、租税特別措置法第69条の3第1項の適用に当たっては、実際の支払地代により判断すべきであるとした事例
- 特定の資産の買換えの課税の特例を適用した船舶の譲渡契約に係る対価の額には、内航貨物船に係る建造引当権が含まれており、当該建造引当権の対価の額につき買換えの特例が適用されないとした事例
- 土地売買の仲介手数料について、宅地建物取引業法に定める報酬の額を超えているとして、租税特別措置法第63条第1項の規定が適用されるとした事例
- 居住用土地建物及び非居住用土地建物と一体で利用されていた私道を譲渡した場合において、当該私道の面積のうち租税特別措置法第35条に規定する特例の適用がある部分は、居住用土地及び非居住用土地の各面積を基にあん分により求めた面積とすることが相当であるとした事例(平成24年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・一部取消し・平成27年1月23日裁決)
- 譲渡土地は平成元年から耕作放棄されているので、特定の事業用資産の買換特例の適用がないと認定した事例
- 請求人が建物補償金などの名義で取得した金員の一部について、収用等の場合の課税の特例を適用することはできないとした事例(平22.4.1〜平23.3.31までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・平成26年6月3日裁決)
- 本件土地の買主が当該土地を転売しているので、租税特別措置法第31条の2第2項第9号に該当しないとして請求人の主張を排斥した事例
- 土地と建物を一括譲渡した場合において、土地譲渡益重課制度の対象となる土地の譲渡対価の額は、建物の未償却残額に建築費上昇率を乗じて得た建物の価額を土地建物の譲渡対価の額から控除して算定すべきものとした事例
- 特例農地の貸借が相続税の納税猶予に係る期限の確定事由に当たり、倉庫の建築工事に着工した日に使用貸借の設定があったものと認定した事例
- 代替資産として取得した建物及び建物附属設備のうち、建物についてのみ圧縮記帳したために生じた圧縮限度超過額は、建物附属設備に係る圧縮損の計上額として取り扱うことはできないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。