1. 書面による贈与契約であってもその契約の効果が真実生じているか否かを実質的に判断するべきであるとした事例2. 複数の連帯保証人と物上保証人がある場合の負担割合は平等であるとした事例
[相続税法][相続税の課税価格の計算][債務控除]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2003/03/25 [相続税法][相続税の課税価格の計算][債務控除]請求人は、本件不動産について、本件相続開始前に本件公正証書に基づいて請求人の子らが被相続人から生前贈与を受けたものであり、本件相続財産ではない旨主張する。
しかしながら、本件不動産の所有権移転登記手続および使用収益の状況などに照らすと、被相続人は、本件公正証書に基づいて、孫らに対し本件不動産を真に贈与する意思を有していたとは認め難く、孫らも、本件不動産を取得したとする認識があったとは認められない。
また、公正証書を作成した目的が、請求人が主張するように、孫らに対する相続税の節税のための生前贈与にあるとするならば、孫らの親権者である請求人を含めた当事者は、本件不動産についての贈与税の申告が必要であるとの認識を有していたとみるのが自然であるところ、本件不動産に係る贈与税の申告はされていない。
そうすると、本件公正証書は将来の相続税の負担を回避するなど、何らかの意図を持って作成された、実体を伴わない形式的な文書であるとみるのが自然かつ合理的であり、本件公正証書によって被相続人と孫らの間に贈与の合意が成立していたものとは到底認められず、請求人の主張には理由がない。
請求人は、本件連帯保証債務について、銀行取引約定書における連帯保証人としての署名・押印は請求人の承諾なく被相続人が無断で行ったものであり、請求人の保証人としての責任はもとより発生しておらず、本件借入金に係る保証人は被相続人一人であるから本件連帯保証債務の全額を債務控除すべきである旨主張する。
しかしながら、銀行取引約定書には請求人の実印が押印されていること、主たる債務者である関係法人の当時の代表者が請求人自身であること、また、請求人は銀行から請求人あてに発せられた催告書に対して異議を述べた形跡がないことなどからみて、請求人は保証人であることを十分に認識していたと認めるのが相当であり、請求人の主張は採用できない。
また、本件借入金については、連帯保証人以外に物上保証人がいることから保証人は3名となり、その負担額は均等であると認められることから、本件相続について債務控除すべき被相続人の保証債務の額は、本件連帯保証債務の額の3分の1とするのが相当である。
平成15年3月25日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 1. 書面による贈与契約であってもその契約の効果が真実生じているか否かを実質的に判断するべきであるとした事例2. 複数の連帯保証人と物上保証人がある場合の負担割合は平等であるとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(相続税法>相続税の課税価格の計算>債務控除)
- 被相続人が米国f州にジョイント・テナンシーの形態で所有していた不動産について、生存合有者(ジョイント・テナンツ)が取得した被相続人の持分は、みなし贈与財産に該当し、相続税の課税価格に加算されるとした事例(平成21年12月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の変更決定処分、平成21年12月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平成21年12月相続開始に係る相続税の過少申告加算税の各賦課決定処分・全部取消し、一部取消し、棄却・平成27年8月4日裁決)
- 遺贈に対して遺留分による減殺請求がなされている場合であっても、各共同相続人の取得財産の範囲が具体的に確定するまでは、受遺者の課税価格はそれがないものとして計算した金額によるとされた事例
- 本件借入金については、その借入れに係る借用証書に債権者の住所、氏名等の主要事項が記載されていない等多くの疑問点及び不自然な点があることから、債務は存在しなかったと認定した事例
- 請求人が、被相続人の財産から親族に支払った金員は、相続開始後に成立した贈与契約に基因するもので、相続開始の際に現に存する確実な債務ではないとした事例
- 相続人らから本件被相続人への本件各金員の支出は、本件被相続人が相続税対策のために相続人らに贈与を行っていたことなどからすると、相続人らから本件被相続人への贈与であったとみることは困難であるから、本件各金員は、相続人らから本件被相続人に貸し付けられたものと認められるとした事例
- 林道工事に係る受益者負担金は、その納入通知が相続開始後になされているので債務控除の対象にならないとした事例
- 実際に負担する金額が確定していない葬式費用は、民法第900条から902条までの規定による相続分又は包括遺贈の割合で計算すべきとした事例
- 相続開始前3年以内に贈与により取得した財産は贈与税の更正・決定等の期間経過後であっても相続税の課税価格に加算すべきであるとした事例
- 遺産分割協議時に、共同相続人間で分割協議対象財産として認識されていない財産があった場合には、遺産分割協議書に「本書に記載のない財産は特定の者に帰属する」旨の記載があったとしても、当該財産は未分割財産とみるのが相当であるとした事例
- 相続財産の額から控除される債務に関し、貸宅地の立退きの合意は相続開始後であり、請求人は申告上当該宅地を貸宅地として評価していること等から、立退きに係る支払債務は確実と認められる債務に該当しないとした事例
- 原処分庁が配偶者が取得したと主張する財産は、遺産分割協議以前より存在し、当該遺産分割協議で子が取得したものと認めるのが相当であるから、配偶者が相続により取得した財産はなく、相続税法第19条に規定する相続開始前3年以内の贈与加算の適用もないとした事例
- 使用人に対する退職金債務 | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所 本文へジャンプします サイト内検索 検索の仕方 利用案内 サイトマップ 関連リンク ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例要旨 >> 相続税法関係 >> 使用人に対する退職金債務 「関係税法」を選択すると、該当の税法関係の事例選択ページに移動します。menu("相続税法関係")| 閲覧方法 | 相続税の課税価格の計算 使用人に対する退職金債務 分割財産に係る課税価格 非課税財産 債務控除 借入金 敷金、保証金等 判決、訴訟上の和解による債務 物上保証、連帯債務等 使用人に対する退職金債務(1件) 保証債務 その他 相続開始前3年以内の贈与 その他 被相続人の事業を承継した相続人が従業員等に支払った被相続人時代の退職金は相続債務ではないとした事例
- 1. 書面による贈与契約であってもその契約の効果が真実生じているか否かを実質的に判断するべきであるとした事例2. 複数の連帯保証人と物上保証人がある場合の負担割合は平等であるとした事例
- 未分割遺産に係る相続税の課税価格の計算は、いわゆる穴埋方式によるべきであるとした事例(平成22年5月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成27年6月3日裁決)
- 相続開始前3年以内に贈与があった場合の当該贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算したとしても、贈与税の課税関係が消滅するものではないとした事例
- 遺言執行者に対する報酬(遺言執行費用)支払債務は、相続税法第13条に規定する債務に該当しないとした事例
- 無利息の敷金に係る債務控除額は、敷金の金額から、通常の利率による返還期までの間に享受する経済的利益の額を控除した金額によるのが相当とした事例
- 遺産分割調停中である場合には、相続税の更正等を行えないとする税法上の規定はなく、原処分は適法であるとした事例
- 遺産分割協議において寄与分に応ずる財産が具体的に定められるとともに、一部の財産が協議の対象から漏れていた場合において、相続税法第55条の規定により相続税の課税価格をいわゆる穴埋方式で計算するときには、当該寄与分に応ずる財産の価額は各共同相続人の未分割財産の取得可能額の計算の基礎となる財産の価額から除外されるとした事例
- 判決によって給付を命じられた不当利得返還債務の額は相続税法第14条に規定する確実と認められる債務に該当するとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。