農地の売主死亡に係る相続税の課税財産につき、同売買に係る売買残代金請求権(債権)ではなく、農地と認めるのが相当であるとした事例
[相続税法][相続税の課税財産の範囲]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2003/01/24 [相続税法][相続税の課税財産の範囲] 原処分庁は、土地の売買契約締結後、同契約完了までの間に売主に相続が発生した場合、その相続税の課税財産は売買残代金請求権であり、その価額は債権として評価すべきである旨主張する。確かに、当該売買契約に係る、売主及び買主双方の義務が、各々誠実に履行され、同債権が確定的に被相続人に帰属していることを肯定できる場合であれば、そのように解釈すべきである。
しかしながら、本件の場合、本件農地に係る不動産売買契約については、売主である被相続人側の責めに帰すべき理由が何等ないにもかかわらず、もっぱら買主側の事情により履行が遅延し、契約締結後2年8か月経過した相続発生の日においても遅延状態にあり、最終的にも、契約締結後約4年4か月、予定された契約履行の日から約3年4か月、相続開始から約1年7か月経過後に解除されたことからすれば、本件相続開始時点において、同契約に係る売買残代金請求権が確定的に被相続人に帰属していたことを肯定できないため、その課税財産は本件農地と認めるのが相当である。
平成15年1月24日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 農地の売主死亡に係る相続税の課税財産につき、同売買に係る売買残代金請求権(債権)ではなく、農地と認めるのが相当であるとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(相続税法>相続税の課税財産の範囲)
- 売買契約をした農地の移転許可前に買主に相続が開始した場合、相続財産は農地ではなく前渡金であるとした事例
- 本件土地は現時点においてその所在を確定できないから相続財産に含まれないとした事例
- 有料老人ホーム入居時点において入居者が有することとなる入居者の死亡又は入居契約の解約権の行使を停止条件とする金銭債権は相続財産に該当するとした事例
- 被相続人が相続開始後認知された子Mに渡した小切手(額面45,000千円)は、預け金ではなく、Mに贈与されたものであり、相続財産に属さないと認定した事例
- 相続人名義の預貯金がそもそも被相続人に帰属していたものではないと認定した事例
- 金融機関が行った貸付債権と預金の相殺は、民法第506条第2項の規定により双方の債権が相殺適状を生じた時まで遡及するが、相続開始日はそれ以前であるから、当該預金は相続財産を構成するとした事例
- 相続人らの名義の株式等について、相続財産と認定した事例
- 株式は祖母から死因贈与により請求人が既に取得したものであり、被相続人の相続財産を構成しないとした事例
- 被相続人の死亡は業務上の死亡に当たらないから、弔慰金の額は、同人の死亡当時における普通給与の半年分に相当する金額とするのが相当であるとした事例
- 相続人又はその家族名義の預金、株式及び割引債について、生前贈与された資金の運用により取得されたものではなく、被相続人が請求人に指示して管理運用していたもので、その一部を除き相続財産であると認定した事例
- 共同相続人間等で争われた株主権確認請求訴訟に係る控訴審判決の理由中の判断で示された事実等に基づき被相続人が相続開始日現在において有していた出資口数を認定した事例
- 借地権者の地位に変更がない旨の申出書を提出後その土地の所有権者が建物を建て替えた場合その借地権は所有権者に無償で返還され消滅している旨の請求人の主張を排斥した事例
- 被相続人のゴルフ会員権は財産的価値を有し相続財産に含まれるとした事例
- 相続開始直前に銀行預金から引き出した現金について、相続開始時における手持現金と認定した事例
- 宅地の売買契約が成立して特約による所有権移転時期前に買主に相続が開始した場合、相続財産は所有権移転請求権であるとした事例
- 相続開始直前に行われた本件株式の売買は、仮装の売買と認められ、本件株式は相続財産であるとした事例
- 毎年保険料相当額の贈与を受け、その保険料の支払に充てていた場合における受取保険金は相続により取得したものとはみなされないとした事例
- 借地権等の売買契約中に売主である被相続人に相続が開始した場合における相続財産は、当該借地権等ではなく、当該売買契約に係る残代金請求権であり、また、既に受領した手付金及び中間金は相続税の計算上債務には当たらないとした事例
- 土地等の売買契約中に売主に相続が開始した場合における相続税の課税財産は、相続開始後に相続人が当該売買契約を解除した場合であっても、売買残代金請求権とするのが相当であるとした事例
- 有価証券及び貸付金債権が請求人らの相続財産であるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。