親族間で賃貸借契約書及び売買契約書が作成されていた土地について、契約成立の事実は認められず、その所有者は被相続人であるとした事例
[相続税法][相続税の課税財産の範囲]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1993/12/08 [相続税法][相続税の課税財産の範囲] 請求人は、本件土地については、被相続人と請求人の二男((被相続人の孫)(売買については二男夫婦))との間で、昭和54年に賃貸借契約が、昭和61年に売買契約が成立しているから、相続財産ではないと主張する。
しかし、本件賃貸借契約書が作成された事実は外形的に認められるものの、[1]それに記載された約定は遵守されていず、[2]当該契約は祖母と孫という特殊な親族関係を基にして何ら第三者の目に触れることなく存在したものであり、その効果の発生が確認できないから、本件土地に係る賃貸借が成立していたとは認められない。
また、本件売買契約書が作成された事実は外形的に認められるものの、[1]当事者間に本件土地が孫夫婦のものとする認識も認められず、[2]その契約書に記載された条項も約定どおり履行されていないから、契約の効力の発生を確認することもできず、[3]被相続人の死亡後その事実が他の相続人に露見するなど、当該契約は、祖母と孫という特殊な親族関係を基にして何ら第三者の目に触れることなく存在したものであると認められる。
したがって、本件土地の所有者は名義人である被相続人と認められ、孫は本件土地を使用貸借により使用していたと認めるのが相当である。
平成5年12月8日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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