請求人が実施した社員旅行は、社会通念上一般的に行われているレクリエーション行事として行われる旅行とは認められないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2010/12/17 [所得税法][源泉徴収] 請求人は、請求人が従業員等を参加者として実施した海外への社員旅行(本件旅行)は、実施日程が2泊3日であること、従業員のほぼ全員が参加していること及び従業員には経済的利益を受けることについての選択性が認められないものであること等から、所得税基本通達36−30《課税しない経済的利益……使用者が負担するレクリエーションの費用》(本件基本通達)にいう社会通念上一般的に認められる範囲内のレクリエーション行事であるから、請求人が負担した本件旅行の費用は、従業員に対する経済的利益(給与)として課税されるべきではない旨主張する。
しかしながら、レクリエーション行事として行われる旅行が本件基本通達にいう社会通念上一般的に行われていると認められるものに当たるか否かの判断に当たっては、当該旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員の参加割合、使用者及び参加従業員の負担額、両者の負担割合等を総合的に考慮すべきであるが、少額の現物給与は強いて課税しない(少額不追求)という本件基本通達の趣旨からすれば、従業員の参加割合、参加従業員の費用負担額ないし両者の負担割合よりも、参加従業員の受ける経済的利益、すなわちレクリエーション行事における使用者の負担額が重視されるべきであるところ、請求人が負担した従業員一人当たりの本件旅行の費用の額は、海外への社員旅行を実施した企業の一人当たりの会社負担金額を大きく上回る多額なものであるから、少額不追求の観点から、強いて課税しないとして取り扱うべき根拠はないものといわざるを得ない。
したがって、本件旅行については、社会通念上一般的に行われているレクリエーション行事の範囲内と認めることはできない。
《参照条文等》 所得税法第28条第1項、第36条第1項 所得税基本通達36−30
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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