金地金の消費税免税を利用して儲けられるのか?
気になる記事を見かけたので、消費税免税制度と金地金(インゴット)について調べてみました。金「免税対象外」と明記へ…外国人が転売で利益|読売新聞
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「最速節税対策」更新状況:非課税所得で節税を公開
非課税所得を活用して節税する。給与所得・利子所得・配当所得・譲渡所得(株式等)・譲渡所得(総合課税)・雑所得(公的年金)・損害賠償金・他の法律の非課税措置について。 「最速節税対策」運営者より:
気になる記事を見かけたので、消費税免税制度と金地金(インゴット)について調べてみました。金「免税対象外」と明記へ…外国人が転売で利益|読売新聞
www.yomiuri.co.jp/economy/20151130-OYT1T50133.html
上記によると、訪日外国人が消費税免税で購入した金地金を、消費税込の価格で転売することで、差額の消費税分の転売益を得ているとのことです。仮に、それが本当ならば、1日で相当の利益を得ることができます(年利換算すると凄い数字になりますね)。しかもノーリスクで。
一連の行為は、消費税免税を利用した租税回避行為と言えそうですが、ポイントは3つあります。
まずは、上記1.の訪日外国人の消費税免税について調べてみました。いわゆる「免税店」に関する制度です。
輸出物品販売場における輸出免税について|国税庁
www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/m...
制度の概要は以下の通りです。
- 免税店の事業者は、一定の要件を満たす場合、訪日外国人(非居住者)に対して消費税免税で販売できる。
- 消耗品:1日あたり5千円~50万円
- 消耗品以外:1日あたり1万円超
どうやら一定の要件を満たせば、訪日外国人に対して金地金を消費税免税で販売することが可能なようです。
次に、上記2.の金地金の売買価格について調べてみました。
純金積立なら三菱マテリアル GOLDPARK(ゴールドパーク)
gold.mmc.co.jp/
田中貴金属工業株式会社|貴金属価格情報
gold.tanaka.co.jp/commodity/souba/
両社とも買取価格の方が安いですが、小売価格を税抜にすると、以下の通り、買取価格の方が高くなります。
項目 | ①小売(税込) | ②小売(税抜) | ③買取(税込) | ②-③ |
三菱マテリアル | 4,627円/g | 4,284円/g | 4,520円/g | 236円/g |
田中貴金属工業 | 4,615円/g | 4,273円/g | 4,530円/g | 257円/g |
訪日外国人が4,273~4,284円/g(消費税免税)で購入し、4,520~4,530円/g(消費税込)で転売すれば、250円/g前後の転売益が得られるようです。売買手数料がかかれば利益は少なくなりますが、それでもある程度の利益は出そうです。
最後に、上記3.の訪日外国人の国内転売について調べてみました。
輸出物品販売場制度に関するQ&A|国税庁
www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/m...
上記Q&Aの問2(免税販売の方法)によると、「⑤免税対象物品の引渡し」については、
輸出物品販売場を経営する事業者は、免税対象物品を引き渡す際には、購入者との事後のトラブルを防止するためにも、購入記録票に記載されている次の事項を説明します。
・免税で購入した物品を帰国の際に携帯していなかったときは、その購入物品に対する消費税が徴収されること。
とされています。・免税で購入した物品を帰国の際に携帯していなかったときは、その購入物品に対する消費税が徴収されること。
更に、「⑦購入記録票の提出」においては、
非居住者は、出国する際、免税購入物品を携帯等の方法により輸出するとともに、旅券等に貼付けられた購入記録票を、出港地を所轄する税関長に提出しなければなりません(旧消令18③、新消令18⑤)。
非居住者が出国する際に免税購入物品を携帯していない(輸出しない)場合には、出国時に、当該非居住者から、免除された消費税額に相当する消費税が徴収されることとなります(消法8③)。
と明記されています。非居住者が出国する際に免税購入物品を携帯していない(輸出しない)場合には、出国時に、当該非居住者から、免除された消費税額に相当する消費税が徴収されることとなります(消法8③)。
すなわち、日本国内で金地金を転売した場合、出国時に消費税を支払わなければなりません。これでは消費税免税で購入した意味がありません。
パスポートに貼付けられた購入記録票を剥がしたり(割印はどうするのでしょうか…)、郵便を使うといった抜け道が考えられなくもありませんが、リスクは非常に高いです。
なお、非居住者が免税購入物品を別送の方法により輸出した場合は、出国する際に免税購入物品を携帯していませんので、別送による輸出手続をとる際に購入記録票を提示し、税関において輸出済である旨の証印を受けることにより確認を受けることとなります。
ただし、郵便により輸出するものについては、郵便局が発行する受領証(内容品の品名、数量、価格が記載されているものに限ります。)又は受理明細証により確認できるものは、これにより確認を受けることとなります。
ただし、郵便により輸出するものについては、郵便局が発行する受領証(内容品の品名、数量、価格が記載されているものに限ります。)又は受理明細証により確認できるものは、これにより確認を受けることとなります。
以上の通り、日本国内で金地金を転売して利益を得ることは可能かもしれませんが、あまり現実的でないような気がします。
では、帰国後に金地金を転売した場合、転売益が得られるのでしょうか?
金地金の国際価格が共通であれば、短期間に金相場の大変動がない限り、訪日外国人の母国の付加価値税率(日本の消費税)相当分の転売益が期待できそうです。
国によっては付加価値税率(日本の消費税)が20%を超えます。これは、物凄く美味しい儲け話なのかも…
付加価値税率(標準税率及び食料品に対する適用税率)の国際比較|財務省
www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/10...
ただし、実際に転売益が出るか否かは、訪日外国人の母国の関税制度に依存します。
帰国時の関税が付加価値税率以上かかる可能性もありますし、世の中、楽して稼ぐことは難しいと思われます。