失踪宣告が行われたことに伴い死亡退職金の支払いがあった場合の課税関係|相続税・贈与税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
F社(株)の従業員甲、乙は、海外出張中の平成○年4月6日以後行方不明となっており、F社(株)では、利害関係人として両名の失踪宣告の申立てを行っていたところ、甲、乙の失踪宣告が平成○+12年7月確定しました。その結果、甲、乙両名は、失踪期間が満了した平成○+7年4月6日に死亡したものとみなされることになりました。そこで、F社(株)は、退職給与規程に基づいて、甲、乙の遺族に対して退職金を支給することとしました。
この場合に、甲、乙の遺族に支給される退職金は、両名が死亡したとみなされた日から3年を経過した日以後に支払われることになりますが、当該退職金は相続税法第3条第1項第2号に規定する退職手当金等として相続税の課税対象となりますか。
【回答要旨】
照会に係る甲、乙のように、退職給与規程の定めによって退職手当金等が支給される従業員については、退職と同時に同規程に基づいて退職手当金等の支給額が確定します。
したがって、当該従業員が死亡した場合には、同人に支給されるべき退職手当金等の額は、退職給与規程の定めるところに基づいて自動的に確定すると解されますので、照会の場合のように、その実際の支給が当該従業員の死亡後3年を経過した日以後に行われる場合であっても、当該退職手当金等の額は相続税法第3条第1項第2号に規定する退職手当金等に該当します。
(注) 退職給与規程の適用がない役員等の死亡によって支給される退職手当金等の額は、その支給額について株主総会その他正当な権限を有する機関の決議があった時に確定します。したがって、その決議がその役員等の死亡後3年を経過した日以後に行われた場合には、その決議に基づいて遺族に支給される退職手当金等は、相続税法第3条第1項第2号に規定する退職手当金等には該当しません。この場合には、遺族の所得税(一時所得)の課税対象となります。
【関係法令通達】
相続税法第3条第1項第2号
民法第30条、第31条
所得税基本通達36-10
相続税法基本通達3-30
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/sozoku/03/08.htm
関連する質疑応答事例(相続税・贈与税)
- 未成年者が農業相続人となった場合の農業所得の申告
- 養子縁組前に出生した養子の子の代襲相続権の有無
- 被相続人の準確定申告に係る還付金等
- 代襲相続権の有無(2)
- 共有家屋(貸家)の敷地の用に供されていた宅地等についての小規模宅地等の特例の選択
- 医療法人の出資持分の変更があった場合
- 被相続人の配偶者が遺産分割前に法定相続分に相当する預金の払戻しを受けている場合の配偶者に対する相続税額の軽減
- 納税猶予の特例の適用を受けている農地等の大半が収用により譲渡されたために農業経営を廃止した場合の利子税の特例
- 無制限納税義務者に係る未成年者控除の控除不足額を制限納税義務者である未成年者から控除することの可否
- 相続を放棄した代襲相続人に遺贈財産がある場合の相続税の2割加算
- 合名会社等の無限責任社員の会社債務についての債務控除の適用
- 財団たる医療法人に対する残余財産分配請求権の相続性
- 特別夫婦年金保険に係る課税関係
- 代襲相続権の有無(3)
- 相続税の特例農地等の一部について地役権が設定された場合
- 特定障害者扶養信託契約の「特定障害者の居住の用に供する不動産」の範囲
- 老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例(平成25年12月31日以前に相続又は遺贈により取得した場合の取扱い)
- 仮換地が指定されている相続税の納税猶予の適用を受けている農地等について特定転用を受けた者が、その後の換地処分により清算金の交付を受けた場合の猶予期限の確定処理
- 調整水田に対する納税猶予の適用
- 贈与税に係る外国税額控除
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。