質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
A社の子会社であるB社と特に出資関係を有しないC社との間で、B社を合併法人とする合併を予定しています(A社、B社及びC社はいずれも株式会社です。)。
この合併は、C社の株主に交付する合併対価をB社株式ではなく、B社の親会社の株式であるA社株式とするいわゆる「三角合併」により行うことを予定しているところ、B社の発行済株式については、A社が発行済株式の98%を保有し、残りの2%をB社の従業員持株会が保有している状況です。
いわゆる「三角合併」における適格判定においては、被合併法人の株主に合併親法人株式(合併法人との間に当該合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係とされる一定の関係がある法人の株式をいいます。)以外の資産が交付されないことが要件の一つとされていますが、A社株式は合併親法人株式に該当すると解してよろしいでしょうか。
【回答要旨】
お尋ねのA社株式は、合併親法人株式に該当しません。
(理由)
- 1 株式会社が行う合併が適格合併に該当するためには、合併法人と被合併法人との関係が、完全支配関係、支配関係又はそれ以外の関係のいずれに当たるかによってそれぞれ定められた要件(法2十二の八イ〜ハ)を満たすとともに、これらの関係に共通して定められた要件(法2十二の八柱書き)を満たす必要があります。
このうち、これらの関係に共通して定められた要件は、被合併法人の株主に、次に掲げる株式のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないこととされており(法2十二の八柱書き)、いわゆる「三角合併」の場合には、の株式以外の資産が交付されないことが要件となります。- 合併法人株式(合併法人の株式をいいます。)
又は - 合併親法人株式(合併法人との間に当該合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係とされる一定の関係がある法人の株式をいいます。)
- 2 上記1のにいう「合併法人との間に当該合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係とされる一定の関係」とは、次のいずれにも該当する場合をいいます(法2十二の八、法令4の3)。
- その法人(以下「対象法人」といいます。)と合併法人との間に、対象法人による直接完全支配関係(二の法人のいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の全部を保有する関係をいいます。)があること。
- 合併後において、対象法人と合併法人との間に、対象法人による直接完全支配関係が継続することが見込まれていること。
- 3 また、上記2のの「二の法人のいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の全部を保有する関係」に該当するかどうかという「合併親法人株式への該当性の判定」において、その発行済株式等とは、その法人の発行済株式からその法人が有する自己の株式を除いたものとされています(法2十二の七の五、法令4の3)。
これに対して、「合併法人と被合併法人の関係が完全支配関係に該当するかの判定」を行う際には、自己の株式のほか、次の及びの株式の占める割合が5%に満たない場合には、これらの株式を発行済株式等から除いて判定することとされています(法2十二の七の六、法令4の2)。
- 法人の使用人が組合員となっている民法第667条第1項に規定する組合契約(当該法人の発行する株式を取得することを主たる目的とするものに限ります。)による組合(組合員となる者が当該使用人に限られているものに限ります。)の主たる目的に従って取得された当該法人の株式
- 会社法第238条第2項の決議等により法人の役員等に付与された新株予約権等の行使によって取得された当該法人の株式(当該役員等が有するものに限ります。)
- 4 したがって、「合併親法人株式への該当性の判定」においては、上記3ののような従業員持株会に係る特例は存しませんので、照会のA社とB社との関係は、合併親法人株式の要件である発行済株式等の全部を保有する関係には該当せず、A社株式は合併親法人株式に該当しません。
【関係法令通達】
法人税法第2条第12号の7の5、第12号の7の6、第12号の8
法人税法施行令第4条の2第2項、第4条の3第1項
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/33/23.htm
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