甲社(3月決算)は、平成27年2月1日に租税特別措置法第42条の12の5《生産性向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除》に規定する特定生産性向上設備等に該当する食料品製造業用設備(機械及び装置)を300万円で取得し、同日に国内にある甲社の事業の用に供する予定です。
また、この設備を取得する場合には国から補助金の交付が受けられるため、甲社は、当該設備の取得前に補助金の交付申請を行い、その交付予定額が100万円である旨の交付決定通知書(補助金の額はその交付時に確定する旨が記載されています)の交付を受けていますが、実際に補助金の交付を受けるのは翌事業年度(平成28年3月期)になる見込みです。
甲社はこの設備について、国からの補助金の交付を受ける事業年度(平成28年3月期)において、法人税法第42条《国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の適用を受ける予定ですが、当事業年度(平成27年3月期)において租税特別措置法第42条の12の5第8項の法人税額の特別控除の適用を受けるに当たり、同項に規定する税額控除限度額を計算する場合の本件設備の取得価額は、その設備の取得に要した金額300万円から、国からの補助金の交付予定金額100万円を控除した200万円になりますか。
照会意見のとおりとなります。
(理由)
租税特別措置法第42条の12の5第8項に規定する法人税額の特別控除制度は、青色申告法人が特定期間(産業競争力強化法の施行の日(平成26 年1月20 日)から平成28 年3月31 日までの期間をいいます。)内に、特定生産性向上設備等の取得等をして、これを国内にある当該法人の事業の用に供した場合に、その事業の用に供した事業年度(以下「供用年度」といいます。)の法人税額から次の算式により計算した税額控除限度額(ただし、法人税額の20%が限度となります。)を控除することができるというものです。
(算式)
税額控除限度額=特定生産性向上設備等の取得価額×5%(建物及び構築物については3%)
ところで、生産性向上設備等に該当する設備の取得に際しては、別途、その取得に充てるための国庫補助金等が交付され、法人税法第42条に規定する国庫補助金等の圧縮記帳制度の対象となるケースが多いものと思われます。
補助金の交付と対象設備の取得・供用が同一事業年度に行われた場合において、国庫補助金等の圧縮記帳制度と生産性向上設備等の税額控除制度の両方の適用を受けようとするときの上記算式中の「特定生産性向上設備等の取得価額」は、法人税法施行令第54条第3項の規定により同条第1項の取得価額とみなすこととされた金額(すなわち圧縮後の金額)とされています(措通42の12の5−5(1))。一方、対象設備を取得・供用した事業年度後の事業年度において補助金の交付を受ける場合でも、その交付を受ける事業年度において国庫補助金等の圧縮記帳制度を適用できることとされています(法基通10−2−2)が、このとき圧縮記帳制度と税額控除制度との調整をどのように行うべきかという疑問が生じます。この点、翌事業年度以降に国庫補助金等の圧縮記帳制度の適用を受けることが予定されている場合には、供用年度において、上記算式の「特定生産性向上設備等の取得価額」を国庫補助金の交付予定金額を控除した金額とすることにより調整してよいことになっています(措通42の12の5−5(2))。
本件については、対象設備を取得・供用した事業年度(平成27年3月期)後の事業年度(平成28年3月期)において補助金の交付を受け、その交付を受けた事業年度において国庫補助金等の圧縮記帳制度の適用を受ける予定とのことですので、生産性向上設備等の税額控除限度額の計算に当たっては、上記算式中の「特定生産性向上設備等の取得価額」は、その設備の取得に要した金額300万円から国庫補助金等の交付予定金額100万円を控除した200万円となります。
(参 考)
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
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