請求人は、本件担保申請物件に係る処分禁止の仮処分の登記は所有権の4分の1のみについてされたにすぎず、その余の4分の3に係る価額でも担保価値としては十分であるから、担保として適格である旨主張する。
しかしながら、相続税の延納担保として提供される財産は、その担保に係る相続税額を確実に徴収することができる金銭的価値を有するものでなければならず、かつ、延納許可が取り消された場合に、滞納処分の例により換価することが困難と考えられる事情を有する財産は、延納の担保としては適当でないと解するのが相当である。
これを本件についてみると、本件担保申請物件には処分禁止の仮処分の登記があるところ、仮に、当該仮処分権者が保全すべき登記請求権に係る登記をした場合には、原処分庁のした抵当権の設定登記又は延納が不履行になって公売した場合の買受人の所有権移転の登記は抹消されることになることから、抵当権も所有権も権利の実現が不確実で不安定な状態にあると認められる。
したがって、たとえ数額上担保価値の算出が可能であり、当該仮処分の登記が所有権の一部のみについてされていたものであったとしても、本件担保申請物件は、事実上極めて換価が困難な財産といわざるを得ないから、担保物件として不適当なものである。
平成19年1月31日裁決
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