請求人は、[1]延納の許可の取消しに当たっては、弁明に係る滞納せざるを得なかった事情を十分考慮して行うべきであること、[2]本件延納許可の取消しは、請求人の弁明の内容を十分検討することなく無視・忘却し、形式的なものとして扱っているというべきであり、弁明の聴取の手続が行われたとはいえないことを主張する。
しかしながら、[1]弁明の聴取は、延納の許可を受けた者から、延納税額の滞納その他延納の条件に違反したこと及びその後の資力の状況の変化等について、その存否及びその事情を聴取することにより、取消しを決定する判断の資料とするために行うものであるが、弁明の聴取が行われた場合に、その聴取した内容に拘束されるものではないところ、本件においては、弁明の聴取の手続は適正に行われていると認められること、延納許可に係る税額についての滞納は一時的なものとは認められないこと、具体的な納付計画の提出がないこと、納税資金調達の根拠となる土地の売却についても内容が変遷していることからすれば、原処分庁が、延納許可に係る税額について滞納があり、今後の納付見込みがないことを理由に、相続税の延納許可を取り消したことは適法であると認められる。そして、[2]延納許可を取り消すに当たっては、聴取した弁明の内容に拘束されるものではなく、また、本件滞納せざるを得なかった事情が本件延納許可の取消処分の適法性に影響を与えるものとは認められないから、弁明の聴取の手続が行われたとはいえない旨の請求人の主張には理由がない。
平成18年2月14日裁決
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