請求人は、[1]本件合宿研修は、請求人の本来の目的を達成するために組織的活動の一環として行われているものであるから、本件合宿研修に参加した会員から宿泊代、食事代及び交通費等を賄うために徴収した本件宿泊費には、明白な対価性はなく、消費税の課税対象とはならないこと、[2]本件宿泊費は、合宿研修の計画の初期の段階において参加費を決定しなければならないなどの状況から、ある程度の余裕を持って参加費用を決定することは通常行われていることであり、合宿研修の結果、多少の利益が出たとしても、これをもって対価性があるとは即断できないこと、[3]本件合宿研修は、本来であれば、請求人の本部会館で無料で行うものであるが、会場の関係でやむを得ずホテルの集会場を賃借して行っているものであり、その実費相当額を参加会員に負担してもらっているに過ぎず、収入を得る目的で行うセミナーや研修会とはその性質を異にするものであって、課税資産の譲渡等の対価には該当せず、消費税の課税対象とはならないことから、原処分は違法であり、その一部を取り消すべきである旨主張する。
しかしながら、本件合宿研修は、[1]請求人は法人であるから、その行った役務の提供は、事業として行われたものに該当すること、[2]請求人は、本件合宿研修を企画立案し、その実施を決定した後に、機関紙においてその実施を周知し参加者を募集していると認められること、及び旅行代理店に本件合宿研修に係る往復の交通手段や宿泊先の手配などを請け負わせるとともに、本件宿泊費の額を決定していると認められことから、本件合宿研修を会員に対して提供したのは請求人自身と認められ、このことは請求人の会員に対する役務の提供に該当すること、[3]本件合宿研修は、会員全員を対象に無料で実施するものではなく、参加資格を有する会員といえども本件宿泊費を支払わなければ参加できないことが認められ、また、請求人は参加者以外の会員からは、本件宿泊費を受領していないことが認められるから、本件合宿研修と本件宿泊費との間には明白な対価関係があるから、請求人が、事業として対価を得て行った役務の提供に該当し、消費税の課税対象になると解するのが相当である。
平成16年2月5日裁決
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