事業開始前に事業の用に供する資産を借入金によって取得した場合において、事業開始前に支出した当該借入金の利子は繰延資産である開業費には該当しないとされた事例
[所得税法][必要経費][事業所得]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1999/06/28 [所得税法][必要経費][事業所得] 請求人が事業を開始するに当たり借入金を原資として事業用の本件建物等を取得し、事業開始前に支払った当該借入金に係る本件利子について、請求人は、所得税法施行令第126条に規定する付随費用には含まれず、同条に規定する減価償却資産の取得価額を構成しない等の理由から、所得税法施行令第7条第1項かっこ書きに規定する「資産の取得に要した金額とされるべき費用」に該当しないので同項第1号に規定する開業費に該当する旨主張する。
しかしながら、請求人は本件建物等の工事代金の支払のため銀行から借入れを行い、本件利子を支払っており、本件利子は、請求人が本件建物等を取得することを基因として支出したものと認められること、及び固定資産の取得のための借入金の利子で事業開始前の期間に対応するものは、当該固定資産の取得価額に算入するという所得税基本通達38−8の定めは相当と解されることから、本件利子は所得税法施行令第7条に規定する「資産の取得に要した金額とされるべき費用」に該当すると認められので同条に規定する開業費には当たらず、本件建物等の取得価額に算入すべきである。
平成11年6月28日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 事業開始前に事業の用に供する資産を借入金によって取得した場合において、事業開始前に支出した当該借入金の利子は繰延資産である開業費には該当しないとされた事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>必要経費>事業所得)
- 本件保証債務については、いずれもその保証を行うことが請求人の税理士等の事業の遂行上必要であったと客観的に認められる特段の事情はないとみるのが相当であるから、所得税法第51条第2項及び同法施行令第141条にいう「その事業の遂行上生じた保証債務」には該当しないとした事例
- 本件土地の取得に要した借入金の支払利子は、不動産所得あるいは事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができないとした事例
- 請求人が支出した諸会費等が家事関連費に該当するとしても、業務の遂行上直接必要な部分を明らかにすることができないから、必要経費の額に算入することはできないとした事例
- 一括払いの積立普通傷害保険の保険料のうち満期返戻金等の原資となる積立保険料部分は、業務遂行上必要な費用とは認められないから、保険料支払のための借入金に係る利息のうち、積立保険料に対応する額は、事業所得の金額の計算上必要経費とは認められないとした事例
- 保証債務を履行したことにより生じた損失は事業遂行上生じたものではないから、必要経費に算入することはできないとした事例
- 請求人が医師である父に支払った給与の額は不相当に高額であるとは認められないとして、高額部分について必要経費を否認した原処分を取り消した事例
- ロータリークラブの会費等は必要経費に算入できないとした事例(平成22年分及び平成23年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成26年3月6日裁決)
- 事業所得に係る所得税等の納付のために借り入れた借入金の利子は必要経費に算入することはできないとした事例
- 請求人がb町区長等に対して支払った金員は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入されるとした事例(平成22年分の所得税の更正の請求に対する更正処分・一部取消し・平成26年12月4日裁決)
- 不動産の賃貸料収入が多額であったとしても、その賃貸は事業的規模に当たらないとされた事例
- 証券外務員が行った取引先への融資に係る回収不能額を貸倒損失として事業所得の金額の計算上必要経費に算入した事例
- 税理士が関与先に貸し付けた貸付金の貸倒れによる損失の金額は、税理士業務に係る事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできないとした事例
- 給与所得者の特定支出(受講する研修)について、その活動の実態は、現地において教授陣と討論会を行ったり、国際会議に出席するなど、専ら、自らの調査研究のためと認められるところから、特定支出には該当しないとした事例
- 未収リース相当額の債権に係る貸倒損失は事業の遂行上生じたものであるとした事例
- 請求人が有する破産会社に対する売掛債権の貸倒損失の計上時期は、配当可能な財産がなくその全額が客観的に回収不能となったと認められる破産手続終結の決定がなされた時点であるとした事例
- 通勤費相当額は給与収入を得るために必ず発生する必要な費用であるから非課税所得として給与収入から除外すべきであるとの請求人の主張を排斥した事例
- 取引先から受領した約束手形については、債務者が和議の取下げをした時点において債権の回収が不能になったと認められることから、貸倒損失として必要経費の額に算入すべきであるとした事例
- ロータリークラブの会費は事業所得の金額の計算上必要経費の額に算入することはできないとした事例
- 税理士である請求人の、関与先への貸付金が、税理士業の遂行上生じた貸付金とは認められないから、請求人が当該貸付金に係る貸倒引当金として繰り入れた金額は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入できないとした事例
- 同居している請求人の妻の父母が独立した生計を営んでいるとはいえないから、同父母に支払った給料及び地代は必要経費に算入することはできないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。