[平成27年4月1日現在法令等]
国外転出(相続)時課税とは、相続開始の時点で、1億円以上の有価証券等、未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引(以下「対象資産」といいます。)を所有等(所有又は契約の締結をいいます。以下同じです。)している一定の居住者が亡くなり、非居住者である相続人等が相続又は遺贈(以下「相続等」といいます。)により対象資産の全部又は一部(以下「相続対象資産」といいます。)を取得した場合に、その相続開始の時に、相続対象資産の譲渡又は決済(以下「譲渡等」といいます。)があったものとみなして、その相続対象資産の含み益に対して所得税が課税される制度です。
この制度は、平成27年7月1日以後の相続等について適用されます。
この制度の対象者は、次の(1)及び(2)のいずれにも該当する方(被相続人)です。
この制度の対象資産には、有価証券(株式や投資信託など)、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引及び未決済のデリバティブ取引(先物取引、オプション取引など)が該当します。
この制度の対象となる方(被相続人)の相続人が、相続開始があったことを知った日の翌日から4か月を経過した日の前日までに、その年の1月1日から死亡の日までに確定した被相続人の各種所得に、この制度の適用による所得を含めて準確定申告及び納税をする必要があります。
(注) 平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。
国外転出(相続)時課税の申告をする方(相続人)が、一定の手続を行った場合は、国外転出(相続)時課税の適用により納付することとなった所得税について、相続開始の日から原則5年間(延長の届出により最長10年間)、納税を猶予することができます。
この納税猶予の特例を受けるためには、次のことが必要となります。
なお、納税猶予期間中は、各年の12月31日において所有等している適用相続資産(納税猶予の特例を受けている相続対象資産をいいます。)について、引き続き納税猶予の特例を受けたい旨を記載した届出書(「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例等に係る納税猶予の継続適用届出書」)を翌年3月15日までに、原則として連署による一の書面で、所轄税務署へ提出する必要があります。
対象資産を相続等により取得した非居住者である相続人等が、相続開始の日から5年以内(納税猶予の特例を受け、納税猶予の期限延長の届出書(「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例等に係る納税猶予の期限延長届出書」)を提出している場合には、10年以内)に帰国をした場合(これらの相続人等が国外に複数いる場合には、これらの相続人等の全員が帰国した場合)で、その帰国の時まで対象資産を引き続き所有等している相続対象資産については、国外転出(相続)時課税の適用がなかったものとして、課税の取消しをすることができます。
なお、この課税の取消しをするためには、帰国の日から4か月以内に更正の請求をする必要があります。
ただし、相続対象資産の所得の計算につき、その計算の基礎となるべき事実の全部又は一部について、隠蔽又は仮装があった場合には、その隠蔽又は仮装があった事実に基づく所得については、課税の取消しをすることはできません。
また、次の場合に該当するときにも、国外転出(相続)時課税の適用がなかったものとして、課税の取消しをすることができます。
対象資産を相続等により取得した非居住者である相続人等が、
(所法60の3、125、129、137の3、153の3、所令170の2、266の3、平27改正法附則8)
参考: 関連コード
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